萬世大路

萬世大路（ばんせいたいろ）について

萬世大路は、福島県福島市から山形県米沢市までを結ぶ国道13号の愛称です。この道路は歴史的な背景と長い工事を経て1881年に開通し、当初は「明治国道」及び「大正国道5号」と呼ばれていました。その後、現行の国道13号に引き継がれました。本稿では、萬世大路の誕生から現在までの変遷について詳しく探ります。

歴史的背景

萬世大路の開通は1874年にさかのぼります。福島県信夫郡上飯坂村の区長、立岩一郎が米沢街道の通行の不便さを解消するため、新たに明神峠を越える道の建設を県庁に要請しました。1875年には現地調査が始まり、1881年にはついに道路が開通します。この時、明治天皇が行幸することもあり、特に注目される道路となりました。

道路の建設においては多くの苦難がありました。特に隧道工事では、仙台鎮台から支給された火薬を使用するなどの手法が取られましたが、作業には多くの事故が伴いました。そのため、福島県は工事現場の近くに病院の仮出張所を設置し、事故治療に当たるなどして工事を進めました。

道路の発展

萬世大路は、1885年には国道39号に指定され、首都圏と東北地方を結ぶ重要な幹線道路として大きな役割を果たしました。特に1880年代後半には、イギリスの旅行家イザベラ・バードが道幅の広さと交通量の多さを称賛した記録も残されています。 しかし、その後1899年に奥羽本線が開通すると、鉄道に利用者が移り、次第に交通量は減少していきました。

昭和時代の改修

1920年、萬世大路は第5号国道に指定され、その後自動車の普及に伴い車道化が検討されるようになります。1933年には車道化を目的とした改修工事が始まり、従来の道筋を踏襲しつつカーブや傾斜を和らげました。この改修工事は1937年に完了しましたが、その過程で4名の作業員が死亡する事故も発生しました。

戦後と現在の状況

第二次世界大戦後、1952年に新しい道路法が施行され萬世大路は一級国道13号に指定されました。しかし、交通量の増加や老朽化への対応が必要となり、1961年からは新たな道路の建設が始まりました。「栗子道路」と称されるこの新道は、長大トンネルを通じて冬季の通行を可能とすることを目指しました。

栗子道路は1966年に開通し、以降も改築工事は続けられ、全線の付け替えが完了しました。また、これにより以前の萬世大路は多くの部分が廃道となり、旧道は一部のみ残されました。さらに、栗子隧道は近代化産業遺産として認定され、万世大路の歴史的意義を強調しています。

今や萬世大路は、福島・山形両県を結ぶインフラとして重要な役割を担っていますが、冬季の交通障害や自然災害等の影響も見受けられ、引き続きその整備が求められています。

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