萬休寺

萬休寺（ばんきゅうじ）は、岐阜県美濃市保木脇の長良川河畔に佇む臨済宗妙心寺派の寺院です。天澤山と号し、静かで落ち着いた雰囲気が特徴です。

歴史

萬休寺は、宝永4年（1707年）に清泰寺三世の北州祖秀によって開山されました。江戸時代には、円空が当地に滞在し、薬師如来像を彫刻したと伝えられています。この薬師如来像は、現在、薬師堂に祀られており、中部四十九薬師霊場の四十五番札所として、多くの参拝者を集めています。

薬師堂には、薬師如来像の他に、弘法大師と庚申像も祀られており、中濃八十八ヶ所霊場の二十五番札所にもなっています。このことから、萬休寺は、地域の人々の信仰を集める重要な寺院であったことがわかります。

大正15年（1926年）には、国鉄越美南線（現在の長良川鉄道）が開通した際、寺の敷地の一部が収用され、堂宇が移築されました。これにより、現在の萬休寺の姿が形成されました。

また、萬休寺は、長良川を隔てた湯の洞温泉の奥にある寶生観音を管理しています。この観音堂は、かつて寶生山 曹渓寺として美濃三十三観音霊場の二十五番札所でした。現在では、萬休寺によって大切に守られています。

円空作の薬師如来像

薬師堂に祀られている円空作の薬師如来像は、美濃市の文化財に指定されており、その芸術的な価値が高く評価されています。円空は、江戸時代中期に活躍した僧侶であり、独特の作風を持つ仏像彫刻家としても知られています。萬休寺の薬師如来像は、円空の作風をよく表しており、歴史的にも貴重な仏像です。

萬休寺は、美しい自然に囲まれ、静かで落ち着いた空間を提供しています。歴史的な価値のある仏像や、霊場としての役割を持ち、地域の人々にとって心の拠り所となっています。訪れる人々は、その歴史と文化に触れ、心を静めることができるでしょう。

参考文献

『美濃市史　通史編　下巻』美濃市編　p437　1980年

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