萬福寺 (益田市)

萬福寺（まんぷくじ）

萬福寺は、島根県益田市にある時宗の寺院で、清瀧山を山号としています。この寺院は、益田道場としても知られています。

歴史

萬福寺は平安時代に創建され、もとは安福寺と号し、石見中洲浦にあった天台宗の大寺でした。正和2年（1313年）に遊行した第4代呑海によって再興され、時宗の道場となりました。応安7年（1374年）には、当時の益田七尾城主であった益田兼見がこの地に移築し、益田道場浄光院萬福寺と改称、以来、益田氏の菩提寺となりました。

特筆すべきは、その庭園です。この庭園は、室町時代の画聖である雪舟が益田に滞在した際に作庭したものと伝えられており、その優れた意匠から国の史跡及び名勝に指定されています。

文化財

萬福寺は、数多くの文化財を所有しています。以下に主なものを挙げます。

重要文化財（国指定）

本堂: 室町時代前期、応安7年（1374年）に建立されたもので、桁行七間、梁間七間という規模を持ち、一重、寄棟造、桟瓦葺の構造です。明治37年（1904年）2月18日に重要文化財に指定されました。
絹本著色二河白道図: 鎌倉時代の作品です。

島根県指定文化財

旧書院襖絵 32面
紙本墨画楼閣山水図 8面: 近景の岩に黒々と墨を加えた描き方から、17世紀後半の雲谷派絵師の作品とされています。
紙本墨画山水図 12面: 画風から益田家初代御用絵師・永富等原の作と推測されています。
紙本墨画淡彩仕女図 4面: 19世紀以降、江戸末期の作品で、円山派の影響が見られます。
紙本墨画淡彩芦雁図 8面: 4面は楼閣山水図と同時代の作、残り4面は仕女図と同じ19世紀江戸末期の作です。
木造阿弥陀如来立像: 13世紀後半の作で、三尺阿弥陀と呼ばれています。

益田市指定文化財

流仏三体像: 平安時代の作品です。

国の史跡及び名勝

庭園: 須弥山式の庭園として知られ、昭和3年（1928年）3月28日に指定されました。雪舟が作庭したと伝えられるこの庭園は、その独創的な意匠が高く評価されています。

萬福寺は、歴史、文化、そして美しい庭園が調和した、訪れる人々を魅了する場所です。

参考文献

『特別展 雲谷派 雪舟を継ぐ者たち』 島根県立石見美術館発行、2011年1月

関連項目

医光寺 (益田市)
島根県の観光地
日本の寺院一覧
中国地方の史跡一覧
日本国指定名勝の一覧

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