落とし格子

落とし格子について

概要

落とし格子（おとしこうし）は、中世ヨーロッパにおける城の防御機構として広く用いられた特徴的な門の一種です。このシステムは、城門の垂直スライドによって開閉する仕組みを持ち、敵の侵入を効果的に阻む役割を果たしました。落とし格子は主に木材や金属で構成され、時にはそれらを組み合わせて造られることもありました。

言語的起源

この装置は英語で「Portcullis」と呼ばれ、その語源はフランス語の「porte coulissante」（引き戸の意）にあります。また、フランス語では「Herse」という語が1358年から1359年以降に落とし格子を示すようになり、その背景には中世の社会や防衛戦略が影響を与えています。

構造

落とし格子は、城門に設けられた垂直の溝にはめ込まれ、上下に動くよう設計されています。この動作はカウンターウェイト、ウィンチ、および鎖やロープを用いて迅速に行うことが可能です。落とし格子の下部は特に杭状になっており、地面側には衝撃を和らげるための窪みが作られています。

使用方法

中世の城では、落とし格子が非常に重要な防衛手段として用いられていました。攻城戦や攻撃が行われる際、この装置により入口を効果的に防御しました。さらに、多くの城ではバービカンやゲートハウスといった防衛拠点が城門の前に設けられており、そこにも落とし格子が配備されていました。

落とし格子は通常二枚一組で使用され、内側の格子が先に下降し、その後に外側が降下することで、侵入者を巧妙に閉じ込めるトラップとして機能する設計が施されています。閉じ込められた敵には、戦略的に設計された装置から様々な攻撃が加えられました。例えば、天井からは殺人孔を通じて燃えた薪や熱い砂、さらには熱湯が投下され、側面の狭間からは弩や弓で攻撃されました。

紋章への影響

落とし格子は単なる防衛手段に留まらず、さまざまな紋章にも使用されました。テューダー朝のRoyal Badgesやスターリング・ポンド、イギリス議会の徽章、HM Customs and Exciseといった政府の紋章に見られ、その象徴的な存在感を示しています。

まとめ

このように、落とし格子は中世の城における防衛の歴史において重要な役割を果たしました。その設計や構造、使用される技術は、当時の人々がどのように防衛を考え、どのように創造性を持ってこれを実現していたのかを理解するための重要な手がかりとなります。

もう一度検索