葉桜 (曲)

桂銀淑『葉桜』：作品解説

歌手、桂銀淑のキャリアにおける16枚目のシングルとして、『葉桜』（読み：はざくら）は1997年1月15日に世に送り出されました。この作品は、当時彼女が所属していたレーベル、トーラスレコードより発売されています。

リリース背景と楽曲の特徴

本作『葉桜』は、本シングルに先立つこと約3ヶ月、1996年10月にリリースされていた彼女のオリジナル・アルバム『愛ひとつ 夢ひとつ』からの先行シングルカットという位置づけでした。アルバムの中で既にファンの耳に届いていた楽曲が、改めてシングルとしてプロモーションされる形をとったのです。

楽曲そのものは、情感豊かな歌唱で知られる桂銀淑が特に得意とする、心を揺さぶるような激しさを内包したバラードに仕上げられています。彼女の深い表現力が存分に発揮されるタイプの楽曲であり、聴き手の心を強く掴むことを意図されたものでした。

「勝負曲」としての期待と商業的結果

発売に際しては、その高い楽曲性やアーティストの意気込みを示すかのように、当時の告知ポスターには「今年の勝負曲」という非常に力強いコピーが掲げられ、トーラスレコードとしても、そして桂銀淑自身としても、本作に大きな期待を寄せていたことが伺えます。前年のアルバムリリースを経て、改めてシングルヒットを狙う意図があったと考えられます。

しかしながら、事前の高い期待やプロモーションにもかかわらず、残念ながら『葉桜』は商業的な成功、すなわちオリコンチャート等での上位進出やミリオンセラーといった期待されたほどの売上には繋がりませんでした。セールス面では苦戦を強いられる結果となります。この結果を受け、本作リリースから約半年後の同年夏頃には、次なるシングルである「『Yes』と答えて」が新たにリリースされることとなり、プロモーション活動の軸が次作へと比較的早い段階で移っていくことになります。

コンサートでの重要な役割

商業的な結果とは対照的に、『葉桜』は後年、桂銀淑のライブパフォーマンスにおいて重要な役割を果たすことになります。特に、1999年に開催された彼女のデビュー15周年を記念するスペシャルコンサートでは、そのセットリストの中で非常に印象的な位置を占めました。具体的には、コンサート本編の締めくくりを飾るラストナンバーとして披露され、多くの観客に感動を与えました。このことは、『葉桜』という楽曲が、単なるセールス結果とは異なる、アーティスト自身や長年のファンにとって特別な意味を持つ一曲であったことを強く印象付けます。

収録曲クレジット

このシングル盤には、表題曲である「葉桜」に加え、カップリング曲として「フライト・スケジュール」が収録されています。

葉桜
作詞：岡 恵美子
作曲：岡本 朗
編曲：国吉 良一

フライト・スケジュール
作詞：小椋 佳
作曲：来生 たかお
編曲：国吉 良一

才能豊かな作家陣が楽曲制作に携わっており、シングル全体としても聴きごたえのある構成となっています。

『葉桜』は、1997年の日本の音楽シーンの一端を彩った楽曲であり、桂銀淑というアーティストの活動において、商業的側面とはまた異なる、ライブでの重要な位置づけという側面を持つ興味深い作品と言えるでしょう。

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