葉養正明

葉養 正明

葉養 正明（はよう まさあき）氏は、1949年4月11日生まれの日本の教育行政学者です。教育制度論、地域教育計画論、教育経営論を専門分野としており、特に地方自治体における総合教育計画や小中学校の配置計画といった実務的な側面にも深く関与してきました。

氏の主な肩書としては、国立教育政策研究所名誉所員（2013年以降）、東京学芸大学名誉教授、そして文教大学教育学部心理教育課程教授などが挙げられます。

経歴

葉養氏は千葉県に生まれ、千葉県立安房高等学校を卒業しました。学業は東京教育大学に進み、教育学部を1972年に卒業。さらに同大学の大学院修士課程を1974年に修了し、博士課程は単位取得の上で退学しています。

研究者としてのキャリアは、1977年に母校である東京教育大学の助手としてスタート。その後、筑波大学の助手も務めました。1981年からは東京学芸大学に移り、講師に就任。1983年には助教授となり、教育研究に携わります。そして1999年、同大学の教授に昇任し、長年にわたり教鞭をとりました。

大学での教育・研究に加え、教育政策の実務にも関わります。2008年には国立教育政策研究所の教育政策・評価研究部部長を務め、国の教育政策に関する研究・提言に貢献しました。

東京学芸大学退職後は、2013年に埼玉学園大学の教授に就任。さらに2014年からは文教大学の教授となり、大学院研究科長も務めました。

研究・専門分野

葉養氏の研究は、主に教育行政学の領域に根差しています。特に、教育制度がどのように設計され機能するかを分析する教育制度論、特定の地域における教育のあり方や計画策定を扱う地域教育計画論、そして学校や教育組織の運営管理に関する教育経営論を専門としています。これらの理論的な知見を基盤としつつ、現実の教育課題、特に自治体が進める教育の総合的なプランニングや、少子化・過疎化といった社会変動に対応するための小中学校の適正配置計画づくりに、専門家として積極的に携わり、その経験や知見は多くの自治体で活用されています。

主な業績

葉養氏は、その長年にわたる研究と実務経験に基づき、多数の著書、共編著、翻訳を世に送り出しています。これらの著作は、教育行政学の発展に寄与するとともに、学校現場や教育委員会関係者にとって実践的な指針となっています。

代表的な単著としては、『地域教育計画』（1988年）、『小学校通学区域制度の研究 区割の構造と計画』（1998年）、『米国の「学校の自律性」の研究』（2001年）などがあります。これらの著書からは、地域における教育のあり方、学校制度の構造、そして学校運営の自律性といった多岐にわたるテーマへの彼の関心がうかがえます。

また、人口減少社会における公立学校の設計や、東日本大震災からの教育復興に関する技術について論じた『人口減少社会の公立小中学校の設計 東日本大震災からの教育復興の技術』（2011年）は、現代の教育が直面する喫緊の課題に対する具体的な提言を含んでいます。

さらに、多数の共編著や翻訳も手がけており、『学校と地域のきずな 地域教育をひらく』（編著、1999年）、『合併自治体の教育デザイン 何から始め、どう取り組めばよいか』（共編著、2003年）、教育法規に関する『必携学校小六法』シリーズの共編など、その活動範囲は広範にわたります。翻訳書には、教育政策に関する海外の最新研究を紹介したものもあります。

これらの著作や研究活動を通じて、葉養氏は日本の教育行政学分野における重要な貢献者の一人として知られています。

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