葛山城 (駿河国)

葛山城の紹介

葛山城（かずらやまじょう）は、静岡県裾野市に存在した日本の城で、現在は裾野市指定の史跡として保存されています。この城は、駿東地域における葛山氏の居城であり、今でも当時の名残が感じられる場所です。

城の概要

葛山城は、葛山氏が平時に使用していた「葛山館」と結びついており、菩提寺である仙年寺の背後に築かれた詰城です。城の遺構には土塁や堀切、曲輪などが良好に残されており、訪れる人々にその歴史を伝えています。

地勢と位置

この城跡は、愛鷹山の尾根が東に延びる地点、標高270.4メートルの愛宕山の頂上に位置しています。この地勢により、城は防御の要所として機能することができました。

城の構造

主曲輪は愛宕山の頂部に整地されており、その周りには二ノ曲輪や三ノ曲輪が配置されています。二ノ曲輪は主曲輪から6〜8メートル下の位置にあり、さらに下段に通路状の三ノ曲輪が取り囲む構造になっています。特に三ノ曲輪の東西部分には、尾根稜部を切断した形状の二重空堀切が設けられています。放射状の竪堀も見られ、これは武田氏による築城技術の面影を残していると考えられています。

歴史的背景

葛山氏は、鎌倉時代から室町時代にかけて駿河東部の名族として知られ、御家人として将軍家に仕えました。室町後期から戦国期には、守護であった今川家に従属しつつ、独自に領国運営を行っていました。そのため、今川氏や後北条氏との関係を築く一方で、時として主家を変更する必要がありました。

1568年には、武田信玄が駿河へ侵攻し、葛山氏元が葛山城を奪われることになります。1571年には武田氏と後北条氏の和解が成立し、信玄によって氏元が処刑され、信玄の子信貞が城を受け継ぎました。その後、葛山城は武田氏の支配下にありましたが、1582年には武田氏が滅亡するとともに廃城となりました。

現在の保存状態

現代においても、地元の葛山城保存会によって葛山城跡と居館跡は良好に保たれ、歴史を感じながら訪れることができます。

もののふの里

「もののふの里」は、葛山城址と仙年寺周辺で開催されるイベントで、葛山氏の本拠を広めることを目的にしています。1990年に裾野市商工会が主催し、鎧武者の行列などを伴う盛大な催しとしてはじまりました。1992年にはフェスティバルとして、さらに多くの人々を巻き込むイベントへと成長しました。2020年には「葛山城」まつりとして続いています。

関連の歌

1984年には、葛山城址保存会が地域への思いを込めた歌「ああ幻の葛山城」が制作されています。これにより、地域住民の葛山城への愛情が詩として表現されています。

この城の歴史や文化的背景に触れることで、訪れる人々は今もなおその凛とした面影を感じることができるでしょう。

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