葡萄園

葡萄園（ぶどうえん）とは

葡萄園、または葡萄畑は、ブドウを生産する農場を指します。英語ではvineyard（ヴィンヤード）、フランス語ではvignoble（ヴィニョーブル、ヴィグノーブル）とも呼ばれます。

世界で生産されるブドウの約8割はワイン醸造用で、約1割が生食用、残りが加工用です。そのため、世界的にはワイン用ブドウの生産農場が葡萄園とみなされます。一方、日本では生食用ブドウの生産が約8割を占め、醸造用は約1割、残りが加工用です。そのため、日本ではワイン用ブドウに限らず、ブドウ狩り用のブドウを生産する農場も葡萄園とみなされます。

葡萄園の歴史

葡萄園は、ブドウ栽培の歴史とともに発展してきました。ブドウ栽培は紀元前3000年頃、カフカス地方から地中海東部沿岸地域で、セム族やアーリア人によって始まったとされています。最初に栽培されたのはヨーロッパブドウ（ヴィニフェラ種）で、ワイン醸造も同時に始まりました。その後、セム族はエジプト方面へ、アーリア人はインド方面へブドウ栽培とワイン醸造を伝えました。

旧約聖書（創世記9章20節）には、ノアがアララト山に葡萄園を作ったのが最初であると記されています。

世界遺産に登録された葡萄園

以下のような葡萄園が世界遺産に登録されています。

ヴァル・ドルチャ（オルチャ渓谷、イタリア）
ラヴォー（ラヴォーのブドウ段々畑、スイス）
ピコ島（ピコ島のブドウ畑文化の景観、ポルトガル）
トカイ（トカイのワイン産地の歴史的・文化的景観、ハンガリー）
サン＝テミリオン地域（フランス）
アルト・ドウロ・ワイン生産地域（ポルトガル）

これらの地域は、ブドウ栽培の歴史や文化、景観が評価され、世界的な遺産として保護されています。

テロワール

葡萄園の土壌、地形、気候、風土など、ブドウの生育環境を総称してテロワールと呼びます。ブドウは比較的痩せた、排水性と保水性の良い礫を含んだ重い土壌を好みます。また、生育期に降雨が少ない土地で良質な果実が収穫できます。世界のブドウ生産地では垣根仕立てや棒仕立てが多いですが、日本では多雨多湿な気候に適した棚仕立てでブドウを大きく育てます。

日本の葡萄園

日本にブドウが伝来したのは奈良時代とされています。原産地からシルクロードを経て唐から伝わったと考えられています。718年、行基が甲斐国勝沼（現在の山梨県甲州市）に薬種園を設け、そこでブドウ（甲州種）の栽培を始めたという伝承があります。また、平安時代末期の1186年には、雨宮勘解由が山中で珍しい果樹を見つけて育てたという伝承もあり、これがブドウ栽培の始まりとも言われています。

日本の葡萄園は、現在の山梨県甲州市勝沼町でヨーロッパブドウの一種である「甲州」種の栽培から始まりました。江戸時代には勝沼周辺で商品作物として甲州葡萄が生産され、甲斐の名産として知られていました。明治時代に入ると政府の奨励もあり、1874年頃から勝沼周辺でワインの製造が始まりました。

2013年のブドウ収穫量は18万9700トン（出荷量は17万3600トン）でした。都道府県別の収穫量割合は、山梨県が全国の26%、長野県が14%、山形県が9%、岡山県が8%、福岡県が5%となっています。近年は、北海道や上川地方、後志地方、渡島地方でもワイン用ブドウ品種の生産が増加しています。

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