蒲生篤実

蒲生 篤実

蒲生 篤実（がもう あつみ）氏は、1960年10月11日に福島県田村市で誕生しました。日本の運輸行政、そして国土交通行政に長年携わってきた官僚です。

県立安積高等学校を経て、1985年3月には東京大学法学部を卒業。同年4月、国家公務員採用上級甲種試験（法律区分）に合格し、旧運輸省の門を叩きました。ここから、彼の公務員としての長いキャリアが始まります。

運輸省入省後、蒲生氏は様々な部署を経験しました。1991年7月には海上保安庁警備救難部警備第二課の補佐官として、海上における安全確保や事案対応に関する業務に携わりました。その後、1993年8月には宮城県へ出向し、土木部空港対策課長を務めるなど、地方行政の現場も経験しています。1995年7月には運輸省本省に戻り、自動車交通局貨物課の補佐官として、貨物輸送に関する行政に携わりました。1997年6月には運輸政策局消費者行政課の補佐官となり、運輸分野における消費者行政の企画・調整業務に従事しました。

1998年8月からは、秋田県警察本部の警務部長を務めるという、キャリアの中でも特徴的な異動を経験します。これは、警察行政の一部を担うことによって、幅広い視野と経験を積む機会となったことでしょう。2000年8月に運輸省運輸政策局政策課政策評価企画官として本省に復帰。省庁再編を経て2001年1月からは国土交通省政策統括官付政策評価官付で引き続き政策評価に関する企画業務を担当しました。

国土交通省移行後も、様々な企画官ポストを歴任します。2001年7月には大臣官房総務課企画官（港湾局）、2002年7月には同じく大臣官房総務課企画官（航空局）として、それぞれ港湾行政、航空行政に関わる企画業務に携わりました。2004年7月には大臣官房総務課企画官、そして2004年9月からは国土交通大臣秘書官事務取扱として、大臣の政務をサポートする重要な役割を担いました。この経験は、行政の最高意思決定プロセスを間近で見ることのできる貴重な機会であったと考えられます。

秘書官を務めた後、再び本省の課長ポストに就きます。2006年9月には自動車交通局保障課長として、自動車に関する制度や保障に関わる業務を担当。2007年7月からは大臣官房参事官（海事局）、2008年7月からは大臣官房参事官（航空局監理部予算・管財室長）として、海事・航空分野の政策や予算管理に関わる要職を歴任しました。2010年8月には鉄道局幹線鉄道課長、2012年8月には鉄道局総務課長と、日本の大動脈たる鉄道行政の中枢で重要な役割を担いました。2013年8月からは大臣官房参事官（人事担当）として組織を支える人事部門に関わり、2014年1月28日からは大臣官房人事課長として、省の人事全般を統括する責任者となりました。

これらの経験を経て、より高位のポストへと昇進していきます。2015年7月31日には総合政策局公共交通政策部長として、公共交通全般に関する政策立案・推進を指揮。2016年6月21日には大臣官房総括審議官に就任し、省内の重要政策や調整業務を総括する立場となりました。そして、2017年7月7日には海事局長、2018年7月31日には鉄道局長、2019年7月9日には総合政策局長と、国土交通省の主要な局長職を立て続けに歴任。日本の交通、国土、海事、鉄道といった幅広い分野の行政執行を指揮しました。

2020年7月21日、彼は日本の国際競争力強化の要ともいえる観光分野を統括する、観光庁のトップである長官に就任しました。しかし、その任期は比較的短く、2021年7月1日をもって国土交通省を退官しました。

国土交通省退官後、2023年4月1日からは独立行政法人国際観光振興機構（日本政府観光局：JNTO）の理事長に就任し、再び観光分野の振興に力を注いでいます。長年にわたる運輸・国土交通行政での多様な経験を活かし、日本の観光立国実現に向けた重要な役割を担っています。彼のキャリアは、地方行政、警察、海事、航空、鉄道、自動車、政策企画、人事、そして観光と、非常に幅広い分野を網羅しており、日本の社会基盤整備や経済活動を支える多角的な視点を持っていることがうかがえます。

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