蒼空 (航空機)

蒼空（そうくう）

概要

蒼空は、太平洋戦争中に日本海軍が計画した飛行艇であり、その機体番号は「H11K-L」です。この飛行艇は、太平洋戦争末期の1944年1月から設計が始まりました。川西航空機によって開発が進められたこの機体は、全木製の輸送用飛行艇として、当時の戦局に応じた要請に基づいて設計されました。しかし、戦局が悪化する中で、結局1945年8月に開発は中止となりました。

計画の背景

日本海軍は、優れた輸送能力を持ち、大量の兵員や物資を直接上陸できる飛行艇を求めていました。具体的には、すでに実用化されていた三菱の火星エンジンを4基搭載すること、艇内は2段構造にしてできるだけ多くの物資を積載できること、そして開発の完了を昭和20年末に設定することが要求されました。これらの条件を満たすために初めに1/2サイズの模型を制作し、その後機体の製作に取り掛かることとなりました。

設計と特徴

設計された蒼空は、二式飛行艇に似た形状を持ちながら、さらに大きなサイズを有し、日本海軍が計画した航空機の中では富嶽やTBに次ぐ巨体でした。その機首部分には、左右に観音開き式の扉を設置し、上陸作業を支援する機能が加えられました。また、フラップにはファウラー式の親子フラップが採用され、飛行性能の向上が図られました。

技術的課題

全木製の飛行機を製造することは当時の技術で考慮しなければならない多くの課題が伴いました。特に、巨大な主翼を支える桁材の開発にはかなりの苦労がありました。川西航空機の技術者たちはこれらの課題を一つずつ克服しようとしましたが、これにより開発は遅延を余儀なくされました。

開発の中止

然しながら、進行する戦局の悪化は避けられず、蒼空の開発はどんどん厳しい状況に置かれていきました。そして1945年8月1日に、残念ながら開発は正式に中止される運びとなりました。

仕様

• - 全長: 37.72 m
• - 全幅: 48.00 m
• - 全高: 12.578 m
• - 主翼面積: 290.0 m²
• - 全装備重量: 45,500 kg
• - 乗員: 5 名、兵員 80 名
• - 発動機: 三菱 火星22型（空冷14気筒、1850 hp ×4）
• - 最大速度: 370 km/h
• - 航続距離: 3,890 km（計画値）

このように、蒼空は日本海軍の野心的な計画の一環として位置付けられていましたが、外的要因によってその開発は途絶えてしまいました。

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