蓄膿症

蓄膿症：体腔内に膿がたまる疾患

蓄膿症とは、体内に既に存在する空間に膿が溜まる状態を指します。新しくできた空洞に膿が溜まる膿瘍とは区別されます。一般的には副鼻腔炎を指す俗語として用いられることもありますが、医学的には様々な部位で発生する可能性のある疾患です。

蓄膿症の種類と発生部位

蓄膿症は、膿が溜まる場所によって様々な種類に分類されます。代表的な部位としては以下のものが挙げられます。

胸腔（膿胸）: 胸腔内に膿が溜まる状態。呼吸困難や胸痛などの症状が現れます。
子宮（子宮蓄膿症）: 子宮内に膿が溜まる状態。発熱や不正出血などの症状が現れます。
虫垂（虫垂炎）: 虫垂に炎症が起こり膿が溜まる状態。激しい腹痛や発熱などの症状が現れます。これは蓄膿症というよりは虫垂炎という診断名で呼ばれることが多いです。
髄膜（硬膜下膿瘍）: 脳と脊髄を覆う膜の間に膿が溜まる状態。頭痛や嘔吐、意識障害などの症状が現れ、重症化すると生命に関わります。
関節（敗血症性関節炎）: 関節内に細菌が感染し、膿が溜まる状態。関節の腫れや痛み、発熱などの症状が現れます。
胆嚢: 胆嚢に炎症が起こり膿が溜まる状態。右上腹部の痛みや発熱などの症状が現れます。

蓄膿症の症状

蓄膿症の症状は、膿が溜まっている部位によって大きく異なります。しかし、共通して見られる症状としては、発熱、痛み、腫れなどが挙げられます。また、慢性副鼻腔炎の場合、鼻詰まりや鼻汁、頭痛などの症状が現れることもあります。

特に、副鼻腔炎の場合、症状が進行すると、顔を下に向けて鼻をかんだ際に痛みを感じるようになることがあります。これは、炎症によって副鼻腔の粘膜が傷つき、圧迫されているためと考えられています。

蓄膿症の危険性

蓄膿症は、放置すると重症化し、生命に関わる危険性があります。例えば、髄膜に膿が溜まった場合（硬膜下膿瘍）、脳に膿が及ぶ可能性があり、最悪の場合、死に至ることもあります。また、他の臓器への感染や敗血症を引き起こす可能性も高く、迅速な治療が必要です。

蓄膿症の診断と治療

蓄膿症の診断は、症状や病歴、身体診察、画像検査（X線検査、CT検査、MRI検査など）などを総合的に判断して行われます。治療法は、膿が溜まっている部位や原因菌、患者の状態などによって異なりますが、一般的には抗生物質の投与や手術などが行われます。

抗生物質は、細菌感染による蓄膿症に対して効果を発揮します。手術は、膿の排出や感染源の除去を目的として行われます。手術が必要な場合は、膿瘍のドレナージ（排膿）や、炎症を起こした組織の切除などが行われます。

まとめ

蓄膿症は、様々な部位で発生する可能性のある疾患であり、放置すると重篤な状態に陥る可能性があります。そのため、症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。早期発見、早期治療によって、重症化を防ぎ、予後を改善することができます。

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