蓑茂寿太郎

蓑茂 寿太郎（みのも としたろう）氏は、1950年2月23日に熊本県球磨郡あさぎり町に生まれた、日本の著名な造園学者であり農学者です。造園学、都市農村計画、環境計画、そして公園計画を主要な専門分野として、多岐にわたる活動を展開してきました。

熊本県立人吉高等学校を卒業後、東京農業大学農学部造園学科で学び、1973年に卒業しました。大学卒業後、研究者・教育者としての道を歩み始め、母校である東京農業大学において、地域環境科学部教授、造園科学科長、大学院農学研究科造園学専攻主任教授といった要職を歴任しました。教育活動に加え、大学運営にも深く関わり、副学長や学校法人東京農業大学理事も務めました。長年の教育・研究への貢献が認められ、2016年には東京農業大学名誉教授の称号が授与されています。

学外では、専門分野の発展に大きく貢献しました。特に、社団法人日本造園学会会長や、社団法人日本都市計画学会副会長、農村計画学会副会長といった主要な学会の役員を務め、学会活動を牽引しました。また、専門職能の確立にも尽力し、登録ランドスケープアーキテクト（RLA）制度の創設にあたっては、初代総合管理委員会委員長としてその実現に重要な役割を果たしました。さらに、一般社団法人ランドスケープアーキテクト連盟の初代会長にも就任しています。

教育・研究機関以外でも、幅広い社会的活動に従事しました。建設省都市計画中央審議会専門委員や国土交通省国家試験委員などの国の機関における役職をはじめ、東京都公園審議会、神奈川県都市計画審議会、港区都市計画審議会、世田谷区都市計画審議会、茅ヶ崎市景観審議会、熊本県観光審議会など、多くの地方自治体における審議会委員も務め、都市計画や緑地行政に関する政策立案に深く関与しました。また、公園財団理事長や熊本市都市政策研究所所長としても活動し、公園緑地の管理運営や都市政策研究の推進に貢献しました。

研究者としての業績も高く評価されています。1988年には「都市公園の配置に関する計画学的研究」という論文で東京農業大学より農学博士号を取得しました。この研究は、都市における公園の適切な配置計画に関する重要な知見を提供し、その後の都市計画や造園計画に影響を与えました。

2006年から2012年まで、公立大学法人化された熊本県立大学の初代理事長に就任し、大学の組織改革や運営基盤の強化に指導力を発揮しました。理事長退任後も、熊本県立大学客員教授や名誉フェローとして、同大学との関係を継続しています。この間、東京都立大学（旧）、首都大学東京、昭和女子大学、早稲田大学芸術学校など、複数の教育機関で非常勤講師としても教鞭を執り、教育者としての情熱を持ち続けました。

長年にわたる学術研究、教育、学会活動、そして政策決定への貢献に対して、多くの権威ある賞が贈られています。これまでに、日本都市計画学会賞（論文奨励賞）、日本公園緑地協会北村賞、日本造園学会上原敬二賞、日本公園緑地協会佐藤国際交流賞といった著名な賞を受賞しており、その功績が高く評価されています。

蓑茂氏は、大学における教育・研究、学会活動を通じた学術の発展、そして各種公職や社会的活動を通じた政策・実務への貢献という、多角的な視点から日本の造園学、都市計画、環境計画の分野に計り知れない影響を与えた人物と言えます。

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