蓮乗寺 (武蔵野市)

蓮乗寺は、東京都武蔵野市吉祥寺本町に位置する日蓮宗の寺院です。山号を佛種山、院号を得乗院と称し、地域の人々に親しまれています。旧本山は練馬妙福寺で、通師堀之内法縁に属しています。

寺の創建は江戸時代初期の寛文2年（1662年）に遡ります。開山は蓮華乗院日円（妙福寺15世）で、この僧侶の没年も寛文2年とされています。創建には、付近の里正であった十郎左衛門の先祖が深く関わったと伝えられています。また、天保3年（1833年）には、開基檀越である松井十郎左衛門の外孫娘が厄よけの日蓮を奉納し、寺に祀られています。

境内には、地域文化に貢献した人物の足跡を偲ぶことができる史跡があります。

仙路翁墓碑
特に注目すべきは、仙路翁の墓碑です。仙路翁とは、近隣の子弟の教育に尽力した松井十郎左衛門のことで、彼の徳を慕う弟子たちが、天保6年（1835年）にこの墓碑を建立しました。この墓碑は、武蔵野市の文化財にも指定されており、地域の歴史を語る上で重要な役割を果たしています。

蓮乗寺は、創建から現代に至るまで、地域社会との繋がりを大切にしてきました。その歴史は、武蔵野市の文化的な景観を形成する上で欠かせない要素であり、多くの人々に歴史的遺産として親しまれています。

参考資料

「吉祥寺村」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ125多磨郡ノ37、内務省地理局、1884年6月。
“武蔵野市の文化財を新たに二つ指定しました”. 武蔵野市ホームページ (2018年).

これらの資料からも、蓮乗寺が地域社会に深く根ざした寺院であることが伺えます。蓮乗寺は、単なる宗教施設としてだけでなく、地域の歴史や文化を伝える重要な場所として、これからもその役割を果たし続けるでしょう。

もう一度検索