蔓脚類

蔓脚類について

蔓脚類（まんきゃくるい、学名: Cirripedia）は、甲殻類に分類される多様な動物群で、広義にはフジツボに該当します。2019年9月の時点で、約1,220種類が確認されており、その中には固着性のものと寄生的なものが存在します。蔓脚類は、特に海洋環境に適応した生態を持つことで知られています。

形態的特徴と生態

この動物たちは全て海に生息しており、成体はその形態によって大きく二つのタイプに分類されます。まず、フジツボのように固着し、濾過食で生きるものと、寄生行動をするフクロムシ（根頭上目）があります。固着性の蔓脚類は、数個の硬い殻を持ちながら、その内部から長く湾曲した触手を出して食物を効率的に捕らえます。特に、この触手が「蔓脚」という名称の由来になっています。

また、幼生はノープリウス幼生とキプリス幼生の二段階があり、これらは遊泳性の特質を持っています。成体は頭部に当たる部分の第一触角を使って基体や宿主に固着します。ラテン語の名であるCirripediaも「曲がった脚」を意味し、これはその特徴的な形状を反映したものです。特筆すべきは、フクロムシの成体は大きく退化しており、触脚を持たないことです。

蔓脚類の基本的な体制は、頭部、胸部、腹部に分かれており、胸部には付属肢があります。幼生はこの基本的な体制に近いものの、成体は固着性または寄生性に適応するために、頭部と胸部が大きく退化している点が興味深いです。

下位分類の多様性

蔓脚類はその生態に応じて、さまざまな下位分類が存在します。たとえば、完胸上目のThoracica、筋肉質の柄で基体に付着する有柄目のPedunculata、エボシガイを含むエボシガイ亜目のLepadomorpha、ミョウガガイやカメノテを含むミョウガガイ亜目のScalpellomorphaなどが挙げられます。

無柄目のSessiliaは、柄を持たず石灰質の殻が基体に固着する点が特徴です。さらに、ハナカゴ亜目（Verrucomorpha）、ブラキレパドモルファ亜目（Brachylepadomorpha）、フジツボ亜目（Balanomorpha）も存在します。根頭上目のRhizocephalaは、根のように伸びた組織を介して宿主から栄養を摂取する寄生性を持つフクロムシが含まれています。

他にも、ケントロゴン目（Kentrogonida）、アケントロゴン目（Akentrogonida）、尖胸上目（Acrothoracica）のように、特定の生態環境に適した種が分類されていることも注目すべき点です。これらの分類によって、蔓脚類の豊かな多様性が明らかになっています。

関連項目

蔓脚類の中でも特にフジツボは多くの研究対象となっており、様々な生態系におけるその存在意義が広く知られています。

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