蔡運升

蔡運升の生涯と業績

蔡運升（さい うんしょう）は、中華民国および満州国における重要な政治家であり、奉天派に属していました。彼は複雑な歴史的背景を抱える時代において、さまざまな役職を歴任し、特に満州国の構築に貢献した著名な人物です。彼の字は品三および品山です。

初期の経歴と奉天派での活動

蔡運升は保定法政学堂を卒業後、奉天省内で知県という役職に就きました。その後、黒竜江省へ移り、1916年5月には政務庁庁長に任命されました。しかし、彼は翌年辞職し、1918年には吉林省の実業庁庁長と吉林官銀号の総弁に就任。また、中東鉄道の職務にも就くことになり、1920年には吉長道尹の代理を務めました。

蔡運升は、1927年に浜江道尹および外交部特別長春交渉員に任命され、東北辺防軍司令長官公署の参議や東北政務委員会の委員を経て、その後も地域における重要な政治家としての地位を確立しました。

中東鉄道を巡る紛争と和平交渉

1929年、ソ連と張学良との間で中東鉄道を巡る大きな紛争が発生しました。蔡運升は張の命を受けて和平交渉の代表に選ばれ、双城でソ連代表と交渉を行いました。その結果、12月22日には正式な停戦協定に至り、彼の手腕が大いに期待されることとなりました。以降も蔡運升は政治的な影響力を発揮し続けました。

満州国での役割と晩年

1933年5月、蔡運升は中東鉄道監事長として満州国に参加し、1934年12月には間島省の省長に任命されます。その後も国務総理大臣の後任に推薦されるも、結局は他の候補者が選ばれました。国家運営の中枢での役割を担い、1936年には満州中央銀行副総裁に、1938年には外務局長官に就任しました。1940年5月には経済部大臣に任ぜられ、以後も参議府参議に昇進しました。

満州国の崩壊後、多くの要人がソ連軍に逮捕される中、蔡運升は巧妙に逃れ、新京から北平へと移動しました。1948年以降は、友人と共に北平を守る軍の指導者に中国共産党への支持を促す活動を行い、その成果が実を結びました。あまりの影響力により、彼は中華人民共和国成立後も罪を問われることなく、文化機関で勤務を続けました。

死去とその後の評価

蔡運升は1959年12月に北京で病去し、享年81歳。彼の政治的業績や取り組みは、今でも中華民国と満州国の歴史において重要な位置を占めています。彼が書いた回顧録や史料は、当時の状況を知る貴重な資料として評価されています。彼の生涯は、混沌とした時代の中での政治的な駆け引きや軍事的戦略に満ちています。

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