蔣介石秘録

蔣介石秘録

『蔣介石秘録』（しょうかいせきひろく）は、1974年から1976年にかけて中華民国の総統であった蔣介石の生涯や思想を探る企画記事として、産業経済新聞（当時の題字は「サンケイ」）で連載されました。この企画は、蔣介石の米寿を祝うものであり、後に全15巻として出版されました。

概要

この伝記は一人称の叙述形式で構成されていますが、自伝ではなく、多くの資料や文書に基づいて書かれています。具体的には蔣介石の生前の発言や回想、中華民国政府の公文書、外交文書、さらに中国国民党の公式記録などが使用されています。特に、文中に見られる『……』部分は蔣介石による自述であることに留意が必要です。

新聞連載は蔣介石の最晩年から死後の翌年まで続き、これにより読者は当時の中華民国政府の見解を知る手助けともなります。ただし、執筆には中華民国の文献にのみ依拠している点があり、また一人称視点が採用されているため、蔣介石の生涯を客観的かつ公正に再構成するというよりも、彼の政治的立場を強く反映した内容となっています。

批評

『蔣介石秘録』には賛否が分かれる点もあります。特に南京大虐殺に関する記述において、遭難者が30万～40万人とされたことがあり、これについての批評も存在します。遠藤欣之助は2008年4月号の『月刊日本』において、蔣介石の主張について「虚言の温床」との厳しい見解を述べています。このように、蔣介石の文献は一面的であり、評価には注意が必要とされています。

書籍情報

『蔣介石秘録』は全15巻にわたる大作で、1975年から1977年にかけて刊行されました。各巻の内容は以下の通りです：

1. 悲劇の中国大陸
2. 革命の夜明け
3. 中華民国の誕生
4. 対日屈辱外交
5. 青年士官時代
6. 共産党の台頭
7. 統一への進撃
8. 日本帝国の陰謀
9. 満州事変
10. 毛沢東の敗走
11. 真相・西安事件
12. 日中全面戦争
13. 大東亜戦争
14. 日本降伏
15. 大陸奪還の誓い

また、1985年には全15巻の縮約版が改訂特装版として発行されています。これらの書籍は、蔣介石の政治的視点や中華民国の歴史について深く学ぶための貴重な資料として位置付けられています。

備考

現在、蔣介石秘録の全15巻は中正紀念堂内の文物展示室において展示されています。これにより、訪問者は蔣介石に関する重要な情報にアクセスしながら、彼の影響を受けた歴史的出来事について知識を深めることができます。

このように、『蔣介石秘録』は蔣介石を知る上で欠かせない書籍であり、歴史を学ぶための重要な情報源と言えるでしょう。

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