蔦 (樅型駆逐艦)

駆逐艦「蔦」概要

蔦（つた）は、大日本帝国海軍に所属していた駆逐艦で、樅型駆逐艦の14番艦として知られています。その特異な命名については、同名の橘型駆逐艦が存在するために、初代の「蔦」または「蔦I」と表記されることが通常です。

艦歴の詳細

駆逐艦「蔦」の起工は1920年（大正9年）10月16日、神戸の川崎造船所にて行われました。1921年（大正10年）5月9日には進水し、同年6月30日に竣工を迎えました。これにより、「蔦」は日本海軍の艦船としての運命を歩み始めました。

日中戦争と太平洋戦争

「蔦」は、1937年から1938年にかけての大東亜戦争時に、華北沿岸での作戦に参加するため、日中戦争に従事しました。艦船としての役割を果たしつつ、国際情勢はますます緊迫していきました。その後、1940年（昭和15年）4月1日には哨戒艇に類別が変更され、第三十五号哨戒艇に改名されることとなります。

太平洋戦争が始まると、「蔦」は南方地域での海上護衛や哨戒作戦に従事し、重要な役割を果たしました。この時期、艦船は敵艦の動向を監視しつつ、護衛任務を遂行していました。しかし、運命は悲劇的に訪れます。1942年9月2日、ニューギニア輸送作戦の最中、ビコリア島の北東で米軍機の空爆を受け、ついに沈没してしまいました。艦艇としての歴史はそこに幕を閉じ、1943年（昭和18年）2月10日に「蔦」は除籍されました。

艦長の履歴

艦長に関しては複数の艦長が在任しました。艤装員長には斎藤直彦少佐が任命され、1921年4月30日から艦長に就任しました。その後、艦長には様々な人物が就任し、艦の歴史を共にしました。具体的には、大熊政吉少佐、郷田喜一郎少佐、竹下志計理少佐などが艦長として在任し、艦船の運行に尽力しました。特に、艦の運用に携わった艦長たちは、軍の歴史の中で重要な役割を果たしました。彼らの指導のもと、「蔦」は多くの激動の時代を乗り越えていきました。

結語

「蔦」は、大日本帝国海軍の一翼を担っていた艦船であり、戦争の激闘を経て沈没した歴史的存在です。艦の運命は、当時の時代背景や国際情勢と密接にかかわっており、その足跡は今も多くの人々の記憶に残っています。艦に関する文献や研究は、今後も日本の海軍史を学ぶ重要な資料であり、「蔦」の存在は、海軍の歴史の中で語り継がれていくことでしょう。

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