蔵元 (琉球王国)

蔵元（くらもと）とは

蔵元は琉球王国時代、特に宮古諸島や八重山諸島、久米島に設置されていた地方政庁です。これらの蔵元は、琉球王国の統治機構の一部として、各離島地域の行政や経済を支える重要な役割を果たしました。別名「蔵許」とも呼ばれています。

概要

琉球王国が支配していた離島地域には、近世の初めに蔵元が設けられました。これにより、地方の行政が円滑に行われ、各地域の統治が強化されました。具体的には、宮古島の平良、八重山諸島の石垣島大川、そして久米島の仲里や具志川に設置され、1897年には間切役場が新たに設けられて蔵元は廃止されました。

組織構成

蔵元の組織は、在地の最高位を3人の頭（かしら）が務め、これに座（ざ）や方（ほう）と呼ばれる各部署が続きます。例えば、経理に関する部署は勘定座（かんじょうざ）、系図を扱う部署は系図方（けいずほう）と呼ばれ、各村や島には首里から派遣された役人たちが存在し、統治にあたりました。また、蔵元の行政が適切に管理されるよう、王府から派遣された在番（ざいばん）たちによって、地方の役人たちが監督されていました。

歴史と遺構

久米島町

久米島町の真謝には、蔵元に関連する石垣が残っており、これは国の重要文化財に指定されて「旧仲里間切蔵元石牆」として保護されています。この遺構は、当時の行政の一端を垣間見る貴重な証拠として評価されています。

宮古諸島

宮古諸島では1525年に蔵元が設立され、1535年には平良と下地に頭職が設置され、1611年には砂川間切が加わることで3人制となりました。また、1629年には在番が設けられ、統治機構はさらに整備されました。

八重山諸島

八重山諸島では、1524年に尚真王に仕えていた西塘が頭職に就任し、当初は竹富島に蔵元を設けましたが、港の整備の問題から1543年に石垣島の大川村に移転しました。1628年には3つの間切が設けられ、1632年以降は王府から在番が派遣され、地方行政が強化されました。1641年には薩摩藩の役人が駐在する大和在番が設けられますが、その後1648年に廃止されました。その後、蔵元は別の場所に移転し、歴史的事件の影響を受けながら1871年に再度の移転を経て、土地利用は変化しました。

さらに、竹富島のカイジ浜付近には蔵元跡の石垣が残っており、沖縄県の史跡として指定されています。石垣市立八重山博物館の隣地では、駐車場として整備された場所から17世紀の蔵元跡が発掘されています。これらの遺構を通じて、蔵元の役割や存在の重要性が記録として受け継がれています。

蔵元は琉球王国の歴史において重要な組織であっただけでなく、今日の文化遺産としてもその跡が残り、地域の歴史を知る手がかりとなっています。

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