蔵春閣 (大倉別邸)

蔵春閣について

蔵春閣（ぞうしゅんかく）は、新潟県新発田市諏訪町に位置する歴史的な建造物です。この建物は、大倉喜八郎が設計した東京都向島の別邸の一部を移築したもので、2023年4月29日より一般公開されています。蔵春閣はこれまで多くの歴史的背景を持ち、さまざまな用途で利用されてきました。

大倉別邸としての蔵春閣

大倉喜八郎は1879年、向島の隅田川の岸辺に個人的な別邸を建設しました。この別邸は、特に賓客の接待のために用意されたもので、1912年には日露戦争の影響で多くの来客を迎えるために蔵春閣が新たに建設されました。この建物には、伊藤博文や渋沢栄一など、歴史的な人物が訪れた記録も残っています。

蔵春閣は、254.50平方メートルの建築面積を持ち、延床面積は398.50平方メートルの2階建ての建物です。屋根は唐破風入母屋造りとなっており、避雷針も設置されていました。戦後の占領期には、蔵春閣は「大倉別荘」や「料亭大倉」として占領軍の資料として利用される時期もありました。

船橋への移設と再利用

1955年、船橋ヘルスセンターの開業に伴い、蔵春閣は朝日土地興業により買収され、センター内へ移設され、「長安殿」として中華料理店として再生しました。しかし、1977年に船橋ヘルスセンターが閉業した後、1978年には位置が変更され、ららぽーとTOKYO-BAY内の三井ガーデンホテルに付属する「喜翁閣」として残存することとなりました。しかし、こちらも2006年には閉鎖される運命をたどります。

新発田への移築

2011年にはホテルが営業を終了し、2012年に大倉文化財団へ寄贈され、その後は解体参考のための準備が進められました。解体された後の部材は、大倉文化財団が所有し、蔵春閣が喜八郎の故郷である新潟県新発田市に寄贈されることが決定しました。2017年秋には市が移築の承認を行い、2019年の2月には4つの候補地の中から東公園を選定、2020年の10月に工事が始まりました。

2023年4月29日からは一般公開が開始され、多くの人々がこの歴史ある建物を訪れるようになりました。今後も蔵春閣は地域の文化的なシンボルとして、訪れる人々にその魅力を伝え続けていくことでしょう。

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