蔵重久

蔵重久：激動の時代を駆け抜けた官僚

蔵重久（くらしげ ひさし）は、1890年（明治23年）1月1日に山口県で生まれ、1962年（昭和37年）3月11日に生涯を閉じた人物です。彼は、検察官、内務官僚、県知事、そして市長と、多岐にわたる分野で活躍しました。

初期のキャリアと検察官時代

蔵重久は、蔵重梅吉の長男として生まれ、1914年に東京帝国大学法科大学法律学科を卒業しました。その後、司法官試補となり、検察官としてのキャリアをスタートさせます。大阪地方裁判所検事、松江地方裁判所検事、津山区裁判所検事と、各地の裁判所で検察官を務め、法曹界での経験を積みました。

内務官僚としての活躍

検察官としてのキャリアを経て、蔵重は内務官僚へと転身します。三重県警視を皮切りに、新潟県理事官・農務課長、福島県書記官・警察部長、奈良県書記官・警察部長、岐阜県書記官・内務部長、茨城県書記官・内務部長、兵庫県書記官・総務部長と、数々の要職を歴任しました。これらの経験を通じて、地方行政に関する深い知識と手腕を培いました。

県知事、そして市長へ

1935年6月、蔵重は沖縄県知事に就任しました。当時、政府が推進していた国民精神総動員を、沖縄県においても実行に移しました。その後、1938年6月には鹿児島県知事に転任し、肝属地方の風水害からの復旧や、屋久島での発電計画などを推進しました。しかし、1939年4月17日、蔵重は依願免本官となり、官界を退きました。その後、同年5月から6月にかけて、短期間ではありますが、姫路市長を務めました。

戦後の生活と酒造業

戦後、蔵重は山口県厚狭郡楠町（現在の宇部市）にて、清酒製造・販売を手掛ける「蔵重酒造」を経営しました。官僚としてのキャリアを終えた後も、実業家として新たな分野で活躍しました。

まとめ

蔵重久は、検察官から内務官僚へ、そして県知事、市長と、多様な分野でその能力を発揮した人物です。彼の人生は、激動の時代を背景に、日本の近代史の一断面を映し出しています。蔵重の足跡は、現代を生きる私たちにとっても、示唆に富むものと言えるでしょう。


参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 沖縄大百科事典刊行事務局編『沖縄大百科事典』沖縄タイムス社、1983年。

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