薔薇の標的 (1980年の映画)

薔薇の標的 (1980年の映画)

『薔薇の標的』は、1980年に公開された日本のアクション映画です。舘ひろしが主演を務め、村川透が監督しました。東映セントラルフィルムが製作し、東映が配給しました。

1972年にも東宝が『薔薇の標的』という同名の映画を製作しており、脚本も同じく白坂依志夫と桂千穂が担当していますが、ストーリーは全く異なります。ちなみに、本作の仮タイトルは『激走遊激隊』でした。

ストーリー

現金輸送車を襲撃した野本宏（舘ひろし）は、奪った金を元手に麻薬取引を行おうとしますが、八木（山西道広）率いる暴力組織の襲撃を受けます。さらに、弟分の明（峰竜太）を失い、何者かの密告によって服役することになります。4年後、模範囚として仮出所した宏は、八木を襲って金を奪い、組織のボスである井戸垣（今井健二）に復讐を誓います。しかし、直後に八木らに反撃を受けますが、先に刑務所を出所していた親友の門田圭介（内田良平）に助けられます。

その後、宏は恋人の杏子（中島ゆたか）と再会し、一夜を共にしますが、4年前とは変わってしまった杏子に別れを告げます。翌朝、門田の舎弟である元麻薬Gメンの中尾光二（本間優二）から、貨物船の事務長である王兆徳（草薙幸二郎）と井戸垣との麻薬取引に関する情報を入手します。堅気として生きたいと願う宏と圭介は、この最後の仕事に賭けることにします。

取引当日、麻薬Gメンを装った光二を先頭に、取引先の倉庫を襲撃し、5億円を強奪します。しかし、逃走中に光二が射殺されてしまいます。宏は負傷しながらも、光二の妻に分け前を届け、自宅に戻って杏子に手当を受けます。一方、圭介はホテルのツケを払うために加世（沢たまき）の元を訪れ、息子の入所している養護施設に分け前の現金を寄付し、カナダへ高飛びしようとしたところを八木らに捕らえられ、拷問を受けます。杏子からそのことを聞いた宏は、杏子を疑いながらも敵陣に乗り込み、組織との銃撃戦の末に圭介を救出しますが、直後に圭介が宏を庇って井戸垣の銃弾を受けます。圭介は、力を振り絞って井戸垣を道連れに転落死します。

しかし、感傷に浸る間もなく、組織の首領である浜田（佐藤慶）が銃を持って現れ、引き金を引こうとした瞬間、銃声が鳴り響きます。それは、杏子が浜田に向けて放ったものでした。宏に堅気として生きて欲しい一心から、4年前の取引を浜田に密告し、密かに宏の弁護士費用と保釈金を用意していたのは、杏子だったのです。浜田に騙されていたことを悔いた杏子は、宏の腕の中で自ら銃弾を放ちます。

キャスト

野本宏：舘ひろし
石川杏子：中島ゆたか
門田圭介：内田良平
中尾光二：本間優二
柴田加世：沢たまき
八木：山西道広
井戸垣謙三：今井健二
浜田一郎：佐藤慶
王兆徳：草薙幸二郎
矢沢：松田優作（特別出演）

スタッフ

監督：村川透
企画：黒澤満
脚本：白坂依志夫、桂千穂
撮影：仙元誠三
音楽：羽田健太郎

製作

東映は、舘ひろしを売り出すために、松田優作をスターにした村川透監督に依頼し、舘のクールな魅力を引き出してアクションスターとして成功させようとしました。松田も特別出演しています。

撮影は横浜を中心にオールロケで行われ、村川監督はフィルム・ノワールを意識したと語っています。

受賞歴

第4回日本アカデミー賞 優秀音楽賞（羽田健太郎）

備考

映画公開時、沢田和美の映画初出演が話題となりました。

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