薔薇村

薔薇村について

『薔薇村』（ばらそん）は、1921年5月24日に創刊された朝鮮の著名な雑誌です。この雑誌は、京城にある薔薇村社から発行され、発行人にはアメリカ人の邊永瑞、編集人には黄錫禹が名を連ねています。発行当初から20ページ程度のコンパクトな冊子で、販売価格は20銭という手頃なものでした。

雑誌の目的と特徴

『薔薇村』は、朝鮮で初めての詩文学専門の同人雑誌として、文学界に新たな風を吹き込みました。その表紙には「自由詩の先駆」との文言が記され、自由詩を中心とした創作を通じて各々の内面的な世界を表現することを目指していました。

参加理由としては、詩人や文学愛好家たちが集まり、独自の声を発信するためのプラットフォームを確立することが挙げられます。代表的な同人には、黄錫禹、卞栄魯、朴鍾和、朴英熙、盧子泳、呉相淳、鄭泰信、李薫、辛泰嶽、朴仁徳などが名を連ねています。彼らはそれぞれ異なるスタイルと主題で自由詩を創作し、文学的表現を追求しました。

雑誌の文学的傾向

『薔薇村』は、その文学的な傾向において、浪漫主義の影響を色濃く反映しています。特に、『廃墟』という作品から受けた影響は顕著であり、頽廃的な視点や現実逃避の要素を持つ一方で、情熱的な表現も併せ持っていました。このような浪漫的な視点は、同時期の他の文学作品とも一線を画す独自性を持っていました。

創刊号の結末

しかし、『薔薇村』は創刊号のみの発行に終わり、その後の発展には至りませんでした。詩文学史において重要な位置を占めたとはいえ、朝鮮文学全体においては大きな影響を与えることはできなかったのです。この雑誌がもたらした自由詩の流れは、その後、本格的に始まる浪漫主義文学の先駆けとしての役割を果たしましたが、その直接的な後継雑誌は『白潮』に引き継がれることとなります。

結論

『薔薇村』は、短命であったものの、自由詩というテーマにチャレンジし、多くの詩人たちの創造力を掻き立てる場として機能しました。その重要性は、朝鮮の文学史の中でも一つの時代の象徴として語り継がれています。詩に対する情熱と探求心は、これからの文学に引き継がれる文化的遺産となったのです。

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