薩摩平氏

薩摩平氏について

薩摩平氏（さつまへいし）は、平安時代末期から鎌倉時代にかけて主に薩摩半島で権勢を誇った桓武平氏の一族です。彼らの起源は、平貞時に遡り、多くの系図では彼が平忠通の孫であるとされていますが、別の説では平良持の子とも見なされており、平氏の血統を巡る議論が多々存在します。

平貞時と其の血脈の伝承

平貞時は969年の安和の変に連座し、越後国へ配流されたという伝承があります。彼の子孫には平貞元や平季基などの名前が見られ、平季基は島津荘を開墾したことで知られています。さらに、季基の子孫たちも薩摩国や肥前国などで繁栄し、多くの一族を形成しました。特に、肥前国に土着した伊佐平次兼輔が神埼氏を名乗って成立するなど、彼らの影響は広範囲に及びます。

平貞時から続く系譜は非常に複雑で、伊作良道や多禰有道といった人物も存在し、年譜の整理は難しいものの、彼らは一定の地位を維持し続けました。さらに、平貞時の四代目である良道は薩摩国伊作郷に定住したことでも知られています。

鎮西平氏の形成

また、平氏が九州へ移住した背景には、刀伊の入寇を受けての戦いがありました。藤原北家に仕官した平氏の一部は、刀伊の撃退に従事し、その際の戦功によって新しい土地での地位を獲得しました。こうした流れから、肥前伊佐氏のような新たな平氏一門が形成され、さらには鎮西平氏へと発展しました。

伊作と河邊の一族

平貞時の直系である伊作良道の子孫たちは河邊一族と呼ばれ、南薩摩や薩南島に広がっていきました。河邊一族はそれぞれの地名を冠した氏族を生み出し、強力な影響力を誇っていました。また、河辺氏や鹿児島氏、頴娃氏などがこの系譜に名を連ねています。

これらの一族は南北朝時代にも活躍し、特に南朝方として北朝方の島津氏と争う姿が印象的です。しかし、最終的には彼らは敗北し、臣従を余儀なくされました。

阿多忠景の乱

平氏の中で注目されるべきは、阿多忠景です。彼は阿多郡の統治を巡って兄弟と争い、地位を強化しようとしました。その結果、平氏政権との衝突を引き起こすこととなります。忠景は最終的には追討の宣旨を受け、流刑に遭うこととなるのです。

平氏の衰退

河邊一族が支配を続けていた南薩摩も、承久の乱以降に衰微の一途をたどります。河邊久道の改易を契機に勢力が弱まり、次第に千竈氏がその地位を奪取することとなりました。源頼朝の直系の者たちが新たな守護として薩摩国へ下向し、これもまた平氏の衰退を決定づける要因となったのです。

このように、薩摩平氏の歴史は波乱に富み、地域に深い影響を与えた一族として、その存在感を示しています。彼らの子孫は今なお地域に根付いており、歴史的な遺産を受け継いでいます。

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