薩摩焼

薩摩焼について

薩摩焼（さつまやき）は、鹿児島県を中心に製造される陶磁器であり、国の伝統的工芸品に認定されています。2007年には地域団体商標としても登録され、地域の文化・産業の象徴となっています。江戸時代から薩摩藩の御用品として厳重に管理されていたため、一部の製造者と技術者のみが関与していました。その後、明治政府が陶磁器を重要な貿易産物として位置づける中、需要が増加し、全国各地で薩摩焼が製造されるようになりました。その結果、京薩摩や大阪薩摩など、さまざまな地域のスタイルが生まれ、鹿児島で製造されたものは「本薩摩」として区別されるようになりました。

本薩摩

本薩摩は、鹿児島で生産される薩摩焼で、地元の陶工たちによってさまざまな系統が形成されています。苗代川系、竪野系、龍門司系、元立院系、平佐系、熊野系の六つの系統があり、それぞれ地域の特徴を活かした技術で作られています。

種類

1. 白薩摩（白もん）: 薩摩藩の専用窯で製作されたもので、乳白色の生地に華やかな色絵や装飾が施されています。主に上層階級の使用品や贈答品として重宝されてきました。
2. 黒薩摩（黒もん）: 鉄分を多く含む火山性土を用いて作られ、主に庶民の日常生活で使用される器です。特に黒ぢょかや甕などが代表的なアイテムです。

薩摩焼の歴史

薩摩焼の起源は、豊臣秀吉の文禄・慶長の役に採用された朝鮮人陶工の伝承に繋がります。1867年のパリ万国博覧会では「薩摩錦手」が注目を集め、1873年のウィーン万国博覧会でさらなる人気を得ました。しかし、鹿児島では生産が需要に追いつかず、実際に輸出された薩摩焼の多くは他地域で生産されたものでした。現在でも鹿児島では、地元の窯元が独自の技法を用いて薩摩焼を生産し続けています。

毎年11月に行われる「窯元まつり」や「薩摩焼フェスタ」は多くの人々を惹きつけ、地域の名産品としての認知度を高めています。また、鹿児島で活躍する窯元たちが地元飲食店と連携し、器を使用した料理を提供する地産地消イベントも開催されています。これにより、歴史ある薩摩焼の技術が新たな形で発展しています。

他地域の薩摩焼

幕末に開国した日本では、陶磁器が欧米市場に進出し始めました。薩摩藩も1867年のパリ万博で薩摩焼を出展し、好評を得ることとなりました。当時、鹿児島では生産者の制限があり需要に対して不十分であったため、京都や横浜、東京などで製造された薩摩焼が作られました。特に、京薩摩はより伝統的な美術品として知られ、横浜や東京で製作されたものは「横浜薩摩」と呼ばれています。

このように、薩摩焼は地域ごとの独自性を持ちながらも、日本の陶磁器文化を代表する存在として国内外で広く知られています。

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