薩摩飛脚

『薩摩飛脚』

『薩摩飛脚』（さつまひきゃく）は、作家・大仏次郎が手掛けた小説であり、幕末期の薩摩藩に潜入した幕府の隠密を主人公にした物語です。特に注目されるのは、この作品が映画やドラマとしても数度にわたり映像化された点です。

概要

物語の中心は、隠密である神谷金三郎の冒険を描いており、彼の任務の背後には多くの陰謀が渦巻いています。彼は薩摩藩の内部でさまざまな試練に直面し、その中で成長していきます。作品は歴史的背景に基づきながらも、フィクションとしての面白さも加わっています。

映画版

初期の映像化

1932年から1933年にかけて、日活によって『薩摩飛脚 東海篇』と『薩摩飛脚 剣光愛欲篇』が公開されました。これらは当時の俳優たちによって演じられ、幕末の緊迫した時代を背景にしたストーリーが展開されます。監督はそれぞれ伊藤大輔と山中貞雄が担当し、キャストには大河内伝次郎や澤村國太郎などが名を連ねています。

リメイク版

1938年には新興キネマによって伊藤自身が監督したリメイク版が公開されました。オリジナルのトーキーからサイレント映像として再リリースされたものの、現存するフィルムは86分の長さで、特に貴重な資料となっています。

松竹版

1951年には松竹京都撮影所が制作した版があり、この作品もまた薩摩飛脚の物語を映像化しました。多彩なキャストが魅力を添えており、長さは96分です。

東映版

1955年に公開された東映版は、前篇と完結編に分かれており、松村欽之助役には北原隆がキャスティングされました。さまざまなキャラクターが登場し、ストーリーはより緻密に描かれています。

テレビドラマ版

初のテレビ化

最初のテレビドラマ化は1958年から1959年に放送され、全30回にわたり放送されました。この作品は多くの全国ネット局で取り上げられ、視聴者を惹きつけました。キャストには坂東吉弥などが名を連ね、物語は大いに盛り上がりました。

1982年版

次にフジテレビ系列で放送された1982年の版本では、さらなる演出がなされ、平幹二朗が神谷金三郎を演じるなど新たな試みがなされました。音楽や殺陣の仕掛けも加わり、視聴者に新しい魅力を提供しました。

まとめ

『薩摩飛脚』は単なる物語を越え、さまざまな形でアプローチされてきた作品です。その確固たる人気は、人物造形の深さや、幕末という激動の時代を背後に持つストーリー展開に由来しています。また、いくつものリメイクを経ながらも、常に新しい視点から物語が描かれることで、観る者の心を捉えて離さないのです。

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