藤の沢駅

藤の沢駅：北海道札幌市南区藤野の面影

かつて北海道札幌市南区藤野にあった「藤の沢駅」は、定山渓鉄道線の駅として、1918年（大正7年）10月17日の鉄道開業と同時に誕生しました。その後、1969年（昭和44年）11月1日に定山渓鉄道線の廃止に伴い廃駅となりましたが、その歴史は、藤野地区の開拓の歴史と深く関わっています。

開業から廃線まで

駅舎を備え、日本鉱業豊羽鉱山の選鉱所まで続く2.1kmの貨物専用線も分岐していました。この貨物専用線は1939年（昭和14年）4月17日に敷設され、1963年（昭和38年）9月21日に廃止されています。

藤の沢駅周辺は、明治期に石狩の大漁師・村山伝兵衛が船材用の木材を切り出し、豊平川を流送したことが開拓の始まりとされています。この地は「丸重吾の沢」と呼ばれていましたが、定山渓鉄道の敷地の寄付者である加藤岩吉氏と小沢清之助氏の名を取り、「藤の沢」という駅名が名付けられ、同時に部落名も「藤の沢」へと変わりました。

廃駅後は、駅跡地は「藤野東公園」として整備され、地域の憩いの場となっています。現在、当時の面影を残すものは少ないですが、この地がかつて活気に満ちた鉄道の駅であった歴史を物語っています。

駅周辺環境

藤の沢駅周辺には、札幌市立藤の沢小学校、国道230号、藤野1号通、そしてじょうてつバスの停留所「藤野3条2丁目」（国道230号沿い）などがあります。豊平川も近くを流れ、自然豊かな環境の中に駅はありました。

隣接駅

定山渓鉄道線において、藤の沢駅の隣接駅は、上り方面が石切山駅、下り方面が十五島公園停留所でした。また、駅からは日本鉱業豊羽鉱山への専用線が分岐していました。

まとめ

藤の沢駅は、単なる鉄道駅というだけでなく、藤野地区の開拓の歴史、そして地域住民の生活と深く結びついた存在でした。廃駅となってからも、その歴史は「藤野東公園」という形で受け継がれ、現在も地域の記憶として大切にされています。 藤の沢駅の歴史は、北海道の地方鉄道の歴史、そして地域社会の変遷を理解する上で貴重な資料となっています。 かつての賑わいを偲びながら、静かに時の流れを見守る藤野東公園は、訪れる人々に、過ぎ去った時代への想いを馳せる機会を与えてくれる場所と言えるでしょう。

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