定山渓鉄道線

定山渓鉄道線：北海道札幌市の歴史を刻んだ鉄路

はじめに

定山渓鉄道線は、北海道札幌市白石区の東札幌駅から南区の定山渓駅を結んでいた、かつての私鉄路線です。1918年の開業から1969年の廃止まで、約半世紀にわたり、定山渓温泉への観光客輸送や、木材・鉱石・石材などの物資輸送において重要な役割を果たしました。本稿では、その歴史、路線データ、車両、そして廃線後の状況について詳細に解説します。

路線データと歴史

路線概要

定山渓鉄道線は、全長27.2kmの狭軌（1,067mm）単線路線でした。全線電化（直流1,500V）され、タブレット閉塞式を採用していました。東札幌駅、豊平駅、真駒内駅、石切山駅、藤の沢駅、簾舞駅、滝の沢駅の7駅で列車の行き違いが可能でした。

開業までの道のり

定山渓鉄道線の建設は、1913年に定山渓温泉への観光客輸送、木材・鉱石・石材の輸送を目的として計画されました。当初は国鉄苗穂駅からの発着を予定していましたが、1913年の大洪水の影響で路線計画は大幅に変更を余儀なくされ、最終的に白石駅からの発着となりました。資金繰りにも苦労しながら、1915年に定山渓鉄道株式会社が設立され、1918年10月17日に白石駅～定山渓駅間が開業しました。

戦前・戦中

開業当初は、白石駅～定山渓駅間を1時間30分で結ぶ3往復の列車が運行されました。定山渓温泉の発展とともに業績は順調に推移し、1932年には札幌からのバス路線も開設されました。1930年代には木材や鉱石の貨物輸送も増加しましたが、太平洋戦争中は温泉客の減少により鉱石・石材輸送が中心となり、物資不足による運行率の低下を招きました。

戦後

戦後、定山渓温泉の復興とともに定山渓鉄道線は再び繁栄を迎えました。1949年から1963年にかけては、夜行列車「月見電車」が運行され、人気を博しました。また、豊羽鉱山の再開に伴い、鉱石輸送も増加しました。1957年には東京急行電鉄（現東急）が定山渓鉄道を傘下に収め、東急式の経営が導入されました。東急の五島慶太社長は札幌都市圏の私鉄統合や路線延伸構想を発表しましたが、五島氏の逝去により実現しませんでした。

廃線へ

しかし、1960年代に入ると、貨物輸送はトラックに奪われ始め、旅客もバスやマイカーへの転換が進みました。さらに、豊平駅付近の踏切が交通障害になっているという指摘を受け、札幌市による地下鉄南北線建設に伴う用地買収の申し出を受け入れた結果、定山渓鉄道は1969年1[[1月1日]]に全線廃止となりました。廃止後は代行バスが運行されましたが、既存路線との統合により1970年に廃止されています。

車両

定山渓鉄道線では、蒸気機関車、客車、気動車、電車、電気機関車など、様々な車両が使用されました。特に、国鉄から払い下げられた蒸気機関車や、東急傘下入り後に導入された近代的な車両は注目に値します。これらの車両の一部は、他の鉄道会社に譲渡され、その後も活躍を続けました。

駅一覧と廃線後の状況

定山渓鉄道線には多くの駅・停留所がありました。廃線後は、線路跡は道路や公園などに転用され、駅舎の多くは解体されましたが、石切山駅舎の一部は「石山振興会館」として現在も残っています。各駅周辺の現状について、詳細な記述は割愛しますが、かつての面影を探すことができる場所も多く存在します。

札幌急行鉄道構想

東急傘下入り後、札幌急行鉄道の設立が計画されました。これは、札幌～上江別間の新規路線建設と、夕張鉄道線への乗り入れを目的としたものでした。しかし、投資効果の低さから計画は中止されました。

結論

定山渓鉄道線は、北海道札幌市の発展とともに歩み、多くの市民に利用されてきました。その歴史は、地域の変遷と密接に関連しており、現在もその痕跡は様々な形で残っています。廃線は残念ではありますが、その歴史を振り返り、未来に繋げていくことが重要です。

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