藤原猶雪

藤原猶雪：仏教史研究に生涯を捧げた学者と僧侶

藤原猶雪は、大正から昭和時代にかけて活躍した著名な仏教学者であり、浄土真宗大谷派の僧侶でした。1891年（明治24年）愛知県津島町（現在の津島市）に生まれ、幼少期から仏教に深い関心を抱き、その後の生涯を仏教史研究に捧げることになります。

彼の学問的探究は、真宗大谷大学での学びから始まりました。1911年（明治44年）に予科を経て、1914年（大正3年）に同大学を卒業した後、東京帝国大学に進学。そこで図書館学、そして国史学を修め、1921年（大正10年）から1924年（大正13年）にかけては、東京帝国大学図書館司書、史料編纂官補として貴重な経験を積みます。これらの経験は、後の研究活動に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

1924年（大正13年）に東洋大学の教授に就任すると、同図書館長も兼務。さらに、大倉精神文化研究所主任、明治仏教史編纂所理事、日本教学研究所評議員、駒澤大学講師など、複数の機関で重要な役割を担いました。多忙な日々を送る中で、彼の学問への情熱は衰えるどころか、ますます深まっていったと考えられます。

第二次世界大戦後、1946年（昭和21年）には東洋大学長に就任。同大学では史学科長、文学部長、そして教授を歴任しました。それだけでなく、共立女子大学や東海同朋大学でも教授を務めるなど、教育者としても多大な貢献を果たしました。1955年（昭和30年）には大谷派講師となり、晩年まで仏教の教えを広め続けたのです。1944年（昭和19年）には東洋大学より文学博士号を取得し、その学識は広く認められました。

藤原猶雪の研究成果は、数々の著作として結実しています。代表的な著書として、『覚信尼公行実の研究』（山喜房、1932年）、『仏教渡来史』（東方書院、1934年）、『日本仏教史研究』（大東出版社、1938年）、『真宗史研究：親鸞及び其教団』（大東出版社、1939年）、そして『親鸞聖人伝絵の研究：本願寺聖人伝絵証註序説』（法蔵館、1954年）などが挙げられます。これらの著作は、今日でも仏教史研究において重要な参考文献として高く評価されており、彼の深い学識と綿密な研究姿勢を示すものです。

1958年（昭和33年）7月3日、永眠。彼の死は、日本の仏教界に大きな損失をもたらしましたが、彼の残した業績は、これからも多くの研究者や学生たちにインスピレーションを与え続け、日本の仏教史研究の発展に貢献していくことでしょう。藤原猶雪の生涯は、学問への飽くなき探究心と、仏教への深い信仰、そして教育者としての献身的な姿勢を体現した、まさに模範となる人生だったと言えるでしょう。彼の功績は、これからも後世に語り継がれていくに違いありません。

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