大倉精神文化研究所

公益財団法人大倉精神文化研究所について

公益財団法人大倉精神文化研究所は、実業家であり、後に東洋大学の学長も務めた大倉邦彦によって1932年（昭和7年）に設立されました。この研究所は、東西の精神文化に関する学術研究と普及活動を主な目的とし、国民の知性と道義の向上、ひいては日本文化の振興と世界の文化の進展に貢献することを目指しています。研究所は、設立当初から精神文化に関する内外の図書を収集し、附属図書館を開設して、研究者のみならず一般の人々にも知識を提供していました。

沿革

研究所の歴史は、創設者の大倉邦彦の深い精神文化への関心と、社会貢献への熱意に支えられています。設立当初から、学術研究の推進とともに、精神文化に関する図書の収集に力を入れ、附属図書館は重要な役割を果たしてきました。また、学生や教育者、一般の人々を対象とした精神教育にも積極的に取り組んでいました。

1936年（昭和11年）には文部省所管の財団法人となり、公的な機関としての地位を確立しました。大倉邦彦が東洋大学の学長に就任した際には、研究所から職員が大学に派遣され、教育・研究活動の連携を深めました。

戦時中には、研究所の建物が海軍気象部第5分室として使用され、また、一時的に横浜専門学校の仮校舎としても利用されました。戦後は、名称を大倉山文化科学研究所と改称しましたが、1959年（昭和34年）には元の名称である大倉精神文化研究所に戻しました。附属図書館は一時的に国立国会図書館の支部となった時期もありましたが、その後独立しています。

研究所の建物は、1981年（昭和56年）に横浜市に売却されましたが、旧本館はその後、横浜市大倉山記念館として一般に開放され、地域の人々に親しまれています。2012年（平成24年）には公益財団法人に移行し、新たなスタートを切りました。

組織と活動

研究所は理事長を中心に、専任研究員と客員研究員が研究活動を行っています。また、附属図書館には、哲学、宗教、歴史、文学など幅広い分野の図書や雑誌が所蔵されており、一般の人々も利用することができます。研究所は、学術的な研究活動と同時に、地域社会への貢献も重視しており、文化的な活動を通じて人々の心を豊かにすることを目指しています。

建物

旧本館は、プレ・ヘレニック様式の美しい建物で、設計は長野宇平治によるものです。この建物は、1984年（昭和59年）から横浜市大倉山記念館として一般公開されており、その歴史的価値と美しい建築様式は多くの人々を魅了しています。1991年（平成2年）には横浜市指定有形文化財（建造物）に指定されました。現在、研究所は、この記念館内で活動を続けています。

所在地とアクセス

研究所は、神奈川県横浜市港北区の大倉山公園内に位置しています。最寄りの駅は東急東横線の大倉山駅で、駅から徒歩7分とアクセスも便利です。

関連事項

研究所の創設者である大倉邦彦、横浜市大倉山記念館、東洋大学は、研究所と深い関わりがあります。また、実現には至らなかった旧制高校設立計画も、研究所の歴史を語る上で重要な要素です。

参考文献

研究所の歴史や建築に関する詳細な情報は、以下の文献で確認することができます。

藤森照信、増田彰久 『建築探偵神出鬼没』 朝日新聞社
藤森照信 『日本の近代建築』 岩波書店
* 東洋大学創立百年史編纂委員会・東洋大学井上円了記念学術記念センター 『東洋大学百年史』 通史編 I、1993年

外部リンク

研究所の活動や詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。

以上が、公益財団法人大倉精神文化研究所についての詳細な情報です。研究所は、設立以来、日本の精神文化の発展に大きく貢献しており、今後もその活動が期待されています。

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