藤塚知明

藤塚知明の生涯と業績

藤塚知明（ふじつか ともあき、1737年または1738年 - 1799年または1800年）は、江戸時代の神職であり、学者としても知られています。彼は、式部の称号を持つことから藤塚式部とも呼ばれています。現在、知明は主に神仏習合に対する反発と、彼の文化的な業績で認識されています。

藤塚知明は、陸奥国桃生郡の大須浜に生まれました。彼の幼名は千之助または子之助であり、父の喜惣治は漁師でした。両親が没した後、知明は親類の助けを借りて、仙台の魚問屋へ奉公しました。この過程で、彼は学問に通じた永野屋の主人に才能を認められ、仙台の祠官・山田家に身を寄せることになります。この縁で、彼は鹽竈神社の神職だった藤塚知直の養子となり、知直の娘と結婚しました。

藤塚家は代々、鹽竈神社の下位に位置していました。知明は1785年、鹽竈神社別宮の三禰宜となるよう昇進しました。この頃、鹽竈神社内では別当寺である法蓮寺の支配力が増しており、社僧たちは神仏習合を進めていました。これに対し、知明を含む社家は強く反発し、1791年には仙台藩に直訴する事態に発展しました。

1798年、事件の沙汰が下り、社家側の言い分が認められたものの、知名は法蓮寺を蔑ろにした罪で問われることとなります。彼は隠居していたものの、事件に深く関与していたとされ、この事件は「仏舎利事件」または「藤塚事件」と呼ばれています。沙汰の後、彼は桃生郡鹿又村の梅ノ木に幽閉されました。しかし、知明を預かった仙台藩の家臣である瀬上景福は知明の学識を尊重し、彼に弟子入りする者もいました。知明はここで自由な生活を送り、最終的には亡くなり、塩竈に埋葬されました。現在、彼の墓所は宮城県塩竃市の「みのが丘霊園」にあります。

学問の業績

知明は学者でもあり、系統立った著書こそ少ないものの、特に神学や古碑、古歌に興味を抱いていました。彼の書庫には多くの書物が収められ、「名山蔵」と呼ばれていました。また、彼の家には当時の文化人たちが訪れ、特に同郷の林子平とは深い親交を持ち、子平の著書『三国通覧図説』には知明の影響が色濃く見られます。

知明の主要な著作には、古碑の研究書『坪碑史證考』や古歌を扱った『花勝見考』があり、後者では名物に関する研究が展開されています。また、幽閉された晩年には弟子たちと共に鹿又村の風景を巡り、これをまとめた『河股八景』が遺されています。彼の業績は、後世に多くの文化人に影響を与える重要なものとなりました。

もう一度検索