藤山楢一

藤山楢一について

藤山楢一（ふじやま ならいち、1915年9月17日 - 1994年5月5日）は、昭和期の日本の外交官であり、特に駐英国大使としての功績で知られています。1915年に東京府で生まれ、東京府立第一中学校、旧制東京高等学校を経て、1940年に東京帝国大学法学部英法科を卒業しました。

外務省入省と初期のキャリア

大学卒業後、藤山は外務省に入省し、外交官としてのキャリアをスタートさせました。初期には、英語研修のためアメリカのノースカロライナ大学に留学しました。その後、在アメリカ合衆国日本国大使館に外交官補として勤務しましたが、日米開戦により抑留され、日米交換船で帰国する途上、ドイツ在勤を命じられ、在ドイツ日本国大使館に勤務しました。ドイツ降伏後、再びアメリカに抑留され、帰国するという波乱に満ちた経験をしました。

戦後の活躍

戦後は、在ニューヨーク日本国総領事館での勤務を経て、外務省情報文化局第二課長に就任しました。その後、1959年に在オーストリア大使館参事官、1963年に在インドネシア大使館参事官、1964年に外務省大臣官房審議官、1965年には大臣官房儀典長・宮内庁式部官を歴任し、1968年には情報文化局長に就任しました。1971年には駐オーストリア大使に任命され、外交官としてのキャリアをさらに発展させました。

駐在大使としての活躍

1975年には、昭和天皇の訪米に随員として参加し、同年に駐イタリア兼マルタ大使に就任しました。1979年からは駐連合王国（英国）大使として、重要な外交任務を担いました。退官後は、NECの顧問として活躍しました。

著書

藤山は、外交官としての経験を基に、以下の著書を執筆しています。

『英国という国』（世界の動き社、1984年）
『一青年外交官の太平洋戦争 日米開戦のワシントン→ベルリン陥落』（新潮社、1989年）

特に『一青年外交官の太平洋戦争』では、アメリカ留学時代に日独伊三国軍事同盟前後で学生仲間の態度が変化していった様子など、自身の体験に基づいた貴重な証言が記されています。

藤山楢一は、激動の時代を外交官として生き抜き、国際社会における日本の立場を確立するために尽力した人物です。その経験と知見は、現代の外交にも多くの示唆を与えてくれます。

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