藤山竹一

藤山竹一：内務官僚・県知事としての生涯

藤山竹一（ふじやま たけいち）は、1885年（明治18年）12月に佐賀県で生まれ、1930年（昭和5年）2月12日に亡くなった日本の官僚です。内務省に入省し、警察官僚、そして政友会系の県知事として活躍しました。

生い立ちと学歴

佐賀県の大地主である藤山家の三男として生まれた藤山は、第五高等学校を経て、1910年7月に東京帝国大学法科大学法律学科（独法）を卒業しました。同年11月には文官高等試験行政科試験に合格し、内務省に入省しました。

内務官僚としてのキャリア

内務省入省後、藤山は富山県属となり、1911年4月には富山県試補に任命されました。その後、富山県事務官補、同教育課長、同警視・警察部警務課長などを歴任し、地方行政官としての経験を積みました。その後、和歌山県に移り、理事官・学務課長、視学官などを務めました。

1918年1月には福島県警察部長に就任し、警察行政の責任者として活躍しました。しかし、1919年6月に休職し、一時的に公務から離れます。その後、1920年9月には長崎県警察部長として復帰し、その後、福岡県警察部長を経て山口県内務部長に転任しました。

県知事としての活躍

1927年（昭和2年）5月、藤山は大分県知事に就任しました。大分県知事時代は、政友会色の強い県政運営を行い、農山漁村の振興や道路網の整備に力を注ぎました。1928年（昭和3年）6月には栃木県知事に転任し、新たな地で県政を担いました。

栃木県知事時代には、日光町に「板垣退助伯爵彰徳会」が設立され、藤山は初代名誉会長に就任しました。この会は、板垣退助の功績を称えるために設立されたもので、会長には日光町長が、評議員には輪王寺門跡、日光東照宮宮司、二荒山神社宮司、日光町助役、日光精銅所長など、地域の名士が名を連ねました。

晩年と死

前任地の大分県とは異なり、栃木県では公平な県政を行うことを表明しましたが、県会での政友会と民政党の勢力争いに巻き込まれました。1929年（昭和4年）には、栃木県選出の民政党所属の帝国議会議員が、藤山に対する「知事に対する誹謗質問書」を議会に提出するという事件が起こりました。この事件により、同年7月に休職となり、そのまま退官しました。失意のうちに、1930年（昭和5年）2月12日に亡くなりました。

藤山竹一は、内務官僚として、また県知事として、地方行政に尽力した人物でした。特に大分県での農山漁村振興や道路網整備への取り組みは、その功績として評価されるべきでしょう。また、板垣退助伯爵彰徳会の初代名誉会長を務めたことも、彼の活動の一面を示すものです。

参考資料

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年～平成23年 1 (政治・経済・社会篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年。

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