藤岡
町は、かつて
愛知県西加茂郡に存在した
町で、2005年4月1日に
豊田市に編入され、その歴史に幕を閉じました。この地域は、三河高原、
尾張丘陵、豊田台地が交わる場所に位置し、多様な地形が特徴です。
地理
藤岡
町の地形は、標高700mの三国山山頂付近から、標高80mの西中山川と山田川の合流地点まで、高低差に富んでいます。住民の多くは、標高100mから200mの地域に居住していました。
町内を流れる河川は全て
矢作川の支流であり、豊かな水源を誇っていました。
山岳
- - 三国山: 標高701mの山で、藤岡町の北側に位置し、岐阜県土岐市との境界を形成しています。かつては三河、美濃、尾張の三国の境界であったことが名前の由来です。
- - 猿投山: 標高629mの山で、山頂は豊田市と瀬戸市の境界にありますが、山麓は藤岡町にかかっています。
河川
- - 矢作川: 藤岡町と足助町の境界の一部を形成しています。藤岡町は矢作川の右岸側に位置しています。
- - 犬伏川: 矢作川の支流であり、藤岡町の約48%の流域面積を占める一級河川です。豊田市富田町付近で矢作川本流に合流します。
- - 木瀬川: 犬伏川の支流で、木勢ダムが建設されたことにより、しらさぎ湖が形成されています。
- - 飯野川: 矢作川の支流であり、藤岡町の約29%の流域面積を占める一級河川です。豊田市東広瀬町付近で矢作川本流に合流します。
- - 御船川: 矢作川の支流であり、藤岡町の約12%の流域面積を占める二級河川です。
交通
鉄道
藤岡
町内には鉄道路線が存在しませんでした。かつては
名鉄瀬戸線の延伸構想がありましたが、実現には至りませんでした。最寄りの駅は、地理的には
愛知環状鉄道線の四郷駅でしたが、公共交通機関の利便性から、
名古屋鉄道三河線・豊田線の
豊田市駅が実質的に利用されていました。
バス
- - 名鉄バス藤岡線: 現在は「とよたおいでんバス」に引き継がれています。
- - 旭バス旭藤岡線: こちらも現在は「とよたおいでんバス」に引き継がれています。
道路
- - 猿投グリーンロード: 藤岡町の南端部を東西に通過していました。
- - 国道419号: 藤岡町を南南西から北東に通り、藤岡町役場付近を経由していました。
- - 愛知県道11号豊田明智線: 矢作川の右岸に沿って作られ、藤岡町の東端部を通っていました。
- - 愛知県道13号豊田多治見線: 藤岡町の北部を岐阜県へと抜ける路線でした。
- - 愛知県道33号瀬戸設楽線: 藤岡町を東南東から西北西に抜け、町役場付近で国道419号と交わっていました。沿線には愛知県立加茂丘高等学校がありました。
- - その他県道: 愛知県道485号沢田御作線、愛知県道486号木瀬富田線、愛知県道349号深見亀首線、愛知県道350号北一色東広瀬線、愛知県道352号・岐阜県道112号上渡合土岐線、愛知県道353号大平折平線などが町内を走っていました。
- - 東海環状自動車道: 藤岡町の南端部に位置し、豊田藤岡インターチェンジがありました。
歴史
- - 1889年: 明治の大合併により高岡村と藤河村が誕生。
- - 1906年: 高岡村、藤河村、富貴下村の一部が合併し、藤岡村が誕生。
- - 1947年: 藤岡村役場の木造2階建て庁舎が開庁。
- - 1957年: 愛知県で初めて国の総合開発指定村に指定。
- - 1968年: 藤岡村役場の鉄筋コンクリート造3階建て庁舎が開庁。
- - 1972年: 猿投グリーンロードが開通、広域行政圏が発足。
- - 1972年: 昭和47年7月豪雨により土砂災害が発生、20名が犠牲に。
- - 1978年: 藤岡村が町制施行し、藤岡町が発足。人口は6,320人。
- - 1979年: 第30回全国植樹祭が開催され、天皇・皇后が藤岡町を訪問。
- - 1988年: 人口が1万人を突破。
- - 1995年: 国勢調査で人口増加率が愛知県内第1位、平均年齢が日本で最も若い自治体となる。
- - 2000年: 国勢調査で人口増加率が愛知県内第2位、平均年齢が日本で最も若い自治体(単独)となる。
- - 2005年: 藤岡町は豊田市に編入され廃止。
行政
最後の
町長は田中鋭司氏で、2000年4月28日から2005年3月31日まで在任していました。姉妹都市として
アメリカ合衆国オレゴン州のベンド市と提携していました。
教育機関
高等学校
- - 愛知県立猿投農林高等学校藤岡分校: 1973年3月閉校。
- - 愛知県立加茂丘高等学校: 猿投農林高等学校の藤岡分校・小原分校、および足助高等学校の旭分校を統合して設立された高校です。
中学校
- - 藤岡町立藤岡中学校: 1947年開校。スクールバスの運行や自動車クラブの設立など、先進的な教育活動が行われていました。
小学校
- - 藤岡町立飯野小学校、石畳小学校、御作小学校、中山小学校がありました。
名所・旧跡・観光スポット
旧跡
- - 旧山内家住宅: 江戸時代中期に建てられた民家で、愛知県指定文化財です。
神社
- - 八柱神社: 町内に複数存在し、それぞれ秋に例大祭が開催されていました。
- - その他、磯崎神社、八剱神社、八幡神社、天神社、洲原神社、秋葉神社などが鎮座していました。
寺院
藤岡
町では
曹洞宗の寺院が多く、他に
浄土宗や
真宗大谷派の寺院がありました。広済寺、慶昌寺、天徳寺、昌林寺、徳昌寺、雲興寺、蔵円寺、向陽寺、金剛寺、林宗寺、阿弥陀寺、天宗寺、教安院、薬師寺、栄行寺などが存在していました。特に金剛寺のしだれ桜は有名でした。
施設
- - 愛知県緑化センター・昭和の森: 自然観察やレクリエーションの場として利用されていました。
- - しらさぎ湖(木瀬ダム): 木瀬ダム周辺は親水公園として整備されていました。
- - 豊田市藤岡民俗資料館: 旧藤岡中学校の校舎を利用した民俗資料館でした。
- - その他: アイシン精機・藤岡試験場、藤岡カントリークラブ、名古屋グリーンカントリークラブなどがありました。
まとめ
藤岡
町は、その豊かな自然、歴史、文化が魅力的な地域でした。現在は
豊田市の一部となっていますが、その歴史と文化は今もなお受け継がれています。この資料が、かつて存在した藤岡
町について理解を深める一助となれば幸いです。