藤島神社

藤島神社：新田義貞を祀る歴史と文化の聖地

福井県福井市足羽山に位置する藤島神社は、南北朝時代の英雄、新田義貞を主祭神とする神社です。別格官幣社に指定され、建武中興十五社の一つとして数えられています。境内には、新田義貞とその一族、そして配下の将兵を祀り、歴史と深い関わりを持つ由緒ある場所として知られています。

歴史：兜の発掘から現在の社殿へ

神社の歴史は、明暦年間（1655～1658年）に遡ります。この頃、現在の境内から約3キロメートル離れた灯明寺畷（現・福井市新田塚町）で農民によって兜鉢が発掘されました。福井藩の軍学者・井原番右衛門の鑑定により、その兜は新田義貞のものと断定され、この地が新田義貞の戦死の地であるとの認識が広まりました。

万治元年（1660年）、福井藩主・松平光通は「新田義貞戦死此所」の碑を建立し、この地は「新田塚」と呼ばれるようになりました。明治3年（1870年）、福井知藩事・松平茂昭によって新田塚に祠が建立され、明治9年（1876年）には「藤島神社」と名付けられ、別格官幣社に昇格しました。その後、明治14年（1881年）に福井市牧の町へ、そして明治34年（1901年）に現在の地へ遷座しています。

貴重な文化財：重要文化財に指定された品々

藤島神社は、数多くの貴重な文化財を所蔵しています。その中でも特に重要なのが、重要文化財に指定されている鉄製銀象眼冑です。伝・新田義貞所用の兜として知られ、その精緻な作りと歴史的価値から注目を集めています。

この兜は、当初松平家に献上されていましたが、明治10年（1877年）に藤島神社へ奉納されました。明治33年（1900年）に旧国宝（現行法の重要文化財に相当）に指定され、昭和25年（1950年）の文化財保護法施行後は国の重要文化財となっています。

他にも、太刀銘正中三年備中国吉次（徳川家達奉納）、太刀銘則重（伝・脇屋義助佩用）、結城宗広自筆書状など、歴史的価値の高い品々が数多く保管されています。これらの文化財は、藤島神社の歴史と新田義貞の生涯を深く理解する上で貴重な資料となっています。

ただし、鉄製銀象眼冑に関しては、その真偽について様々な議論がなされています。甲冑研究者の中には、室町時代後期の作品であると結論付ける者もいます。兜鉢の銘文も不明瞭であり、新田義貞の所用であるという証拠は明確ではありません。しかし、兜の発掘伝承を裏付けるような、長曽祢興寛作の兜に「用源義貞兜模之」という銘が刻まれたものが複数存在するといった事実も存在します。

交通アクセス

藤島神社へのアクセスは、福井駅から徒歩約25分、または京福バス、福井鉄道を利用することができます。公共交通機関を利用して容易に訪れることができるため、多くの人々が歴史と文化に触れる機会を得ています。

まとめ

藤島神社は、新田義貞を祀る神社として、その歴史的価値だけでなく、数々の重要文化財を所蔵する文化施設としても重要な役割を担っています。新田義貞の生涯や南北朝時代の歴史に興味のある方はもちろん、日本の歴史と文化に触れたい全ての人にとって、訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

もう一度検索