足羽山

福井市民の憩いの場、足羽山

福井県福井市に位置する足羽山は、標高約116メートルの山で、福井平野を見下ろす絶好のロケーションを誇ります。市街地から容易にアクセスできることから、市民の憩いの場として親しまれ、散策や夜景を楽しむ人々で賑わっています。

春の桜、夏の紫陽花、そして歴史

足羽山は、春には桜、夏にはアジサイが見頃を迎え、特にアジサイの名所として知られています。福井市の市花でもあるアジサイは、クラウドファンディングによる寄付金などを活用し、その植栽面積は年々拡大しています。足羽山と足羽川は「日本さくら名所100選」にも選ばれており、四季折々の美しい自然を満喫できる場所です。また、「ふくい歴史百景」にも選定されており、歴史と自然が融合した魅力的な空間となっています。

足羽山は、豊臣秀吉の北ノ庄城攻めの際、秀吉が陣を張った場所としても知られています。天魔が池付近に陣営を構えたという伝説は、歴史好きの観光客を惹きつけます。現在の名前である「足羽山」と呼ばれるようになったのは明治時代以降で、それ以前は「木田山」や「愛宕山」と呼ばれていました。江戸時代には既に多くの遊山客で賑わっており、18世紀前半には藩の触書にもその様子が記録されています。19世紀には、愛宕坂と呼ばれる北東側の登山道には、楊弓屋や田楽屋が立ち並び、活気に満ち溢れていたと言われています。

公園内の多様な施設

山頂には足羽山公園が広がり、ミニ動物園やフィールドアスレチックといったレクリエーション施設に加え、継体天皇像も設置されています。通年営業の茶店も数軒あり、休憩しながら景色を楽しむことができます。また、福井県内の放送局の送信所も設置されているため、メディア関連の技術にも触れることができます。かつて足羽山公園内にあった福井市立郷土歴史博物館は、2004年に市中心部に移転していますが、足羽山には福井市愛宕坂茶道美術館、福井市橘曙覧記念文学館などの文化施設が現在も残っています。足羽神社、藤島神社、毛谷黒龍神社といった神社も点在し、歴史と信仰の面影も感じられます。

笏谷石と採石場跡：地質学的発見

足羽山では、青みがかって加工が容易な軽石火山礫凝灰岩の一種である笏谷石が採掘されていました。古墳の石棺や石仏、築城、火鉢など、様々な用途に使われてきたこの石は、山麓北西部の笏谷に由来する名称を持ちます。昭和初期までは、足羽川の河川舟運を利用して笏谷から越前内外へと運ばれていました。

採掘は1999年に終了し、その後行われた調査では61か所の採石場跡が確認されました。特に、笏谷にある七ツ尾口坑道では、福井市自然史博物館などの研究者による調査が行われ、新種のヤスデ（アスワタテウネホラヤスデ）やヨコエビ（アスワメクラヨコエビ）といった地下生物が発見されています。これらの発見は、足羽山の地質学的価値を改めて示すものです。

アクセスと周辺情報

足羽山へのアクセスは、複数のバス路線や福井鉄道福武線が利用可能です。愛宕坂、百坂、孝顕寺坂、不動山口・藤島神社口、南側、みどり図書館・西部緑道側、笏谷神社口、運正寺坂など、様々なルートからアクセスできます。各ルートによってアクセス方法や利用可能な交通機関が異なりますので、事前に確認することをお勧めします。

周辺には、福井大学やNHK下馬ラジオ放送所、福井放送ラジオ送信所なども存在し、足羽山は福井市の歴史と文化を語る上で重要な場所となっています。合格電報の題材として足羽山が用いられるなど、福井市民にとって足羽山は特別な存在と言えるでしょう。

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