藤森由香

長野県長和町で育った藤森由香氏は、1986年6月11日に生まれました。幼い頃からスノーボードに親しみ、競技者としての道を歩み始めます。

スノーボードとの出会いは、実家が営むスノーボード店がきっかけでした。店の従業員に教わるうち、その魅力に取りつかれ、本格的に競技に取り組むようになります。長和町スキークラブ、チームJWSCを経て、現在はチームアルビレックス新潟に所属。その活動はエイベックス・スポーツによってマネジメントされています。日本オリンピック委員会のオリンピック強化指定選手としても選ばれていました。

身長160cm、体重50kgという体格で、藤森氏は早くから国際舞台での活躍を目指しました。2004年より国際レースに出場し、同年3月にはFISレースで優勝。翌2005年4月にはジュニア世界選手権で5位入賞を果たすなど、着実に実力をつけていきます。同年10月にはワールドカップで6位となり、自身初のW杯入賞を果たしました。

2006年、イタリアで開催されたトリノオリンピックで、スノーボードクロスが初めて正式種目に採用されました。藤森氏は、この歴史的な大会で男子の千村格選手とともに日本代表に選出されます。初のオリンピック出場ながら、堂々とした滑りを見せ、見事に7位入賞という素晴らしい成績を残しました。

続く2010年のバンクーバーオリンピックでも日本代表に選出されます。しかし、大会公式練習中に突風にあおられて転倒し、頭部を強く打撲するという不慮の事故に見舞われます。本人は試合当日まで出場を強く希望していましたが、医師から再度の衝撃による脳障害のリスクを指摘され、苦渋の決断として競技を棄権することとなりました。この時の心境について、後に「よい結果を出したいという気持ちで焦っていた」と振り返っています。

バンクーバーでの無念を乗り越え、藤森氏は再び世界の舞台へ挑みます。同年12月7日、オーストリアで開催された2010-2011シーズンのワールドカップ開幕戦に出場。そこで3位に入り、自身初となるワールドカップでの表彰台登壇を果たしました。

キャリアの中で新たな挑戦を選んだのは2015年1月のこと。長年主戦場としてきたスノーボードクロスから、スロープスタイルへと競技を転向しました。スロープスタイルはジャンプやジブなどの技の難易度を競う種目で、これまでのクロスとは異なる技術が求められます。この転向後も国際大会で経験を積み、2018年の平昌オリンピックへの出場を内定させました。そして、この平昌オリンピックを最後に、第一線から退く意向を表明しました。

平昌オリンピック後、藤森氏は競技者としてのピークを越え、プロスノーボーダーとして活動していくことを決意します。2018年11月にはラジオ番組に出演し、その後の活動について語りました。2019年1月には、世界的なアクションスポーツの祭典であるエックスゲームズに再び挑戦しています。

プライベートでは、2019年7月にスノーボード大会の司会を務めるイギリス人男性と結婚。現在は、ポルトガル、オーストリア、日本の3カ国を拠点に、練習や活動を行っています。競技者としての経験を生かし、2022年2月にはNHKの北京オリンピック中継でコメンテーターを務めるなど、多方面で活躍を続けています。

藤森由香氏は、スノーボードクロスでオリンピック入賞やW杯表彰台を獲得する一方、スロープスタイルへの競技転向という新たな道も切り開きました。競技人生を通して、困難を乗り越え、常に前向きに挑戦を続ける姿勢は多くの人々に勇気を与えています。現在はプロスノーボーダーとして、またメディア出演や結婚生活など、多彩なライフスタイルを送っています。

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