藤沢南岳

藤沢南岳（ふじさわ なんがく）

藤沢南岳は、天保13年（1842年）に生まれ、大正9年（1920年）に没した、幕末から明治時代にかけての儒学者です。本名は藤沢恒、字は君成、通称は恒太郎といいました。醒狂、香翁といった号も用いました。

経歴

讃岐国（現在の香川県）に生まれた南岳は、父である藤沢東畡の後を継ぎ、大坂の泊園書院を主宰しました。泊園書院では数千人もの門人を抱え、儒学の普及に尽力しました。南岳は、異端を排し、主君への忠義を重んじる儒学を講じました。

高松藩に仕えた際には、佐幕派が主流であった藩論を、わずか一夜にして朝廷派へと転換させるという手腕を発揮しました。戊辰戦争後には、藩の保全に尽力し、藩学講道館にて督学を務めました。また、1887年には大成教会を興しています。

南岳は、「通天閣」や「寒霞渓」といった著名な名所の命名者としても知られています。その他、大阪市内の精華小学校、集英小学校、愛日小学校、桃園小学校、愛珠幼稚園、そして神戸市立好徳小学校など、多くの教育機関の命名にも携わりました。

家族・親族

父：藤沢東畡
長男：藤沢元造（黄鵠） - 衆議院議員
次男：藤沢章二郎（黄坡） - 関西大学初の
名誉教授。その長男は小説家の藤沢桓夫。

著書

増補元明史略便蒙 乾・坤 （藤沢恒君成 岩佐茂平等 1872年）
日本袖史 外編 （岡田茂兵衛 1876年）
純正蒙求箋本 （岡島宝玉堂 1883年）
韓非子全書 （温古書屋 1884年）
探奇小録 （1886年）
弘道新説 （1888年）
七香斎類函 （1889年-1890年）
論語彙纂 （泊園書院 1892年）
藤沢先生講談叢録 （岡島真七 1893年）
皇陵巡拝道略図 （小林林之助 1898年）
新編林園月令 （浜本明昇堂 1900年）
和陶飲酒詩 （横山順 1902年）
論戦新詠 （青木嵩山堂 1904年）
中庸講義 （文海堂 1905年）
明倫彙典 （文海堂 1906年）
韻雅 （鹿田静七 1907年）
遊屐余痕 （松村九兵衛 1907年）
七輯 （泊園書院 1911年）
大統宝鑑 （松村文海堂 1911年）
七香斎文雋 （泊園書院 1914年）
酔世九剤 （1915年）
七香斎詩抄 （泊園書院 1918年）
発揮九範 （1919年）
不苟書室日録鈔 （藤沢元造 1921年）
飛鴻遺影 （藤沢元造 1922年）
大学家説 （泊園書院 1925年）

参考文献

荘司晋太郎 編『海南愛国民権家列伝』西野駒太郎、1886年、134-136頁。NDLJP:777534/72。

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