藤沢御殿

藤沢御殿について

藤沢御殿（ふじさわごてん）は、神奈川県藤沢市に位置していた徳川将軍家の別荘です。現在の位置は旧藤沢公民館と藤沢市民病院の間にあたります。御殿は、慶長元年（1596年）頃に完成したと考えられており、特に徳川家康が関東に入った際に地域支配の拠点として設置されたことが記録されています。

歴史と利用状況

徳川家康による藤沢御殿の利用は、慶長5年（1600年）から始まり、秀忠、家光の時代も含めて寛永11年（1634年）までの間に併せて28回訪問されたことが記録されています。この時期、御殿は将軍の休息や宿泊の場として使用され、地域の重要な拠点となりました。御殿は四方を水堀で囲まれ、内外の土塁に囲まれているため、堅固な城郭の形態を持つことが明らかです。

御殿の堀は、東南に位置するものが特に大きく、その幅は6間、深さは2間半となっています。また、南北の堀も同様の構造を持ち、外土塁と内土塁はそれぞれ大規模なもので、全体の総面積はおよそ6,000坪に達します。これは単に別荘としてではなく、軍事拠点としての機能も持っていたことを示しています。

考古学的調査と遺構

2000年8月、藤沢御殿に関する考古学的調査が行われました。この調査では、西側の堀の遺構が確認されました。相模国内には、同様の御殿や御茶屋が13箇所存在していたことが資料に記されていますが、そのほとんどは元禄時代に廃止されました。特に藤沢御殿のように水堀と土塁が一体となった四角形の構造は、将軍の恒常的な宿泊施設の中でも特異な存在でした。

江戸時代の後期と跡地の歴史

将軍が藤沢御殿を利用した最後の年は寛永11年で、その後は徐々に利用されなくなりました。明暦の大火（1657年）の影響で江戸城の再構築が行われた際、御殿の建物も取り壊されました。天和2年（1682年）には、跡地が農地として利用されるようになりましたが、その名残として現在も御殿橋、陣屋小路、陣屋橋、鷹匠橋などの地名が残っています。また、藤沢市民病院付近には御殿辺公園が設置されています。

アクセス

藤沢御殿へ行くには、小田急電鉄江ノ島線の藤沢本町駅が便利です。周辺の歴史を感じる散策を楽しむことができるでしょう。藤沢御殿は、その壮大な歴史背景とともに、今後も訪れる人々に新しい発見を提供し続けることでしょう。

もう一度検索