藤田耕三 (国土交通官僚)

藤田 耕三（ふじた こうぞう）

1959年（昭和34年）10月3日、大分県大分市に生まれた藤田耕三氏は、日本の運輸・国土交通官僚として長く行政の要職を歴任しました。大分県立大分舞鶴高等学校を卒業後、東京大学法学部第2類（公法コース）で専門知識を修め、1982年3月に同学部を卒業しました。国家公務員採用上級甲種試験（法律）に合格し、同年4月には運輸省へ入省。官僚としての道を歩み始めました。

運輸省およびその後の国土交通省では、多岐にわたる部署で経験を積みました。キャリアの初期には、運輸省国際運輸・観光局観光部企画課や運輸政策局政策課で係長を務めたほか、地方機関である宮城県警察本部交通部交通指導課長としての勤務経験もあります。また、航空局飛行場部管理課、地域交通局自動車業務課、自動車交通局旅客課、運輸政策局貨物流通企画課などで補佐官を務めるなど、運輸行政の幅広い分野に携わりました。

特筆すべき経歴として、外務省への出向があります。1994年5月から3年以上にわたり、在ドイツ日本国大使館で一等書記官として勤務し、国際的な視野と実務経験を深めました。帰国後は運輸省大臣官房文書課で企画官を複数回務め、運輸政策や航空分野の企画立案に関与。川崎二郎運輸大臣の秘書官事務取扱も経験しています。

2000年代に入り、さらに要職への階段を上ります。国土交通省発足後、大臣官房秘書課企画官を経て、近畿運輸局企画部長、同企画振興部長を歴任。その後、国土交通省鉄道局総務課特定監理業務室長・JR・国鉄清算業務監理室長として、公共事業や旧国鉄関連の重要業務を担当しました。また、内閣官房内閣参事官として内閣総務官室、さらに内閣官房アイヌ政策推進室参事官としても勤務し、中央省庁間や内閣直轄の政策調整にも関与しました。

国土交通省本省でのキャリア中盤からは、省内の枢要なポストを担うことが多くなります。自動車交通局旅客課長、大臣官房総務課長、大臣官房政策評価審議官・秘書室長を経て、2012年9月には総合政策局公共交通政策部長に就任。交通政策全般に関する重要な役割を果たしました。

2013年8月には大臣官房総括審議官に就任し、省全体の政策調整に関与。続いて、2014年7月には鉄道行政のトップである鉄道局長に就任しました。2016年6月には幅広い政策分野を統括する総合政策局長、2017年7月には省内の組織運営や広報戦略を担う大臣官房長と、主要な局長ポストを連続して務め、国土交通行政の中枢で手腕を発揮しました。

そして、2018年7月には国土交通審議官に就任し、交通関連施策の総括整理を担当。さらに2019年7月9日、国土交通省の事務方トップである国土交通事務次官に就任しました。約一年間、事務次官として省全体の運営を統括し、2020年7月21日に退官しました。

退官後もその豊富な経験は公共分野で求められています。2020年11月には損害保険ジャパンおよび五島育英会の顧問に就任。さらに2023年4月1日には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の理事長に就任し、日本の鉄道建設や運輸施設整備という重要な公共事業の推進を担っています。

藤田耕三氏は、運輸省に入省して以来、約38年間にわたり、運輸・国土交通行政の幅広い分野で要職を歴任しました。係長から事務次官に至るまで、行政官としてのキャリアを国内外の多様な経験を通じて積み上げ、日本の社会基盤整備に多大な貢献を果たしました。退官後も、公共的な役割を担い続け、手腕を発揮しています。

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