藪友良

藪友良（やぶ ともよし）

概要

藪友良氏は、日本の経済学者で、国際金融論と時系列分析を専門としています。現在は慶應義塾大学商学部の教授として教鞭を執り、研究活動にも精力的に取り組んでいます。特に、為替相場や為替介入の効果、購買力平価に関する実証分析において、数多くの重要な貢献をしています。

人物

千葉県出身の藪氏は、1997年に法政大学経済学部を卒業後、1999年に一橋大学大学院経済学研究科修士課程を修了しました。その後、2006年にはボストン大学大学院経済学研究科で博士号（Ph.D.）を取得しました。経済学研究者としての基礎を築き、国際的な視野と高度な分析能力を身につけています。

研究活動

藪氏の研究は、理論的な枠組みに基づきつつ、実際のデータを用いた実証分析を重視しています。為替相場と為替介入に関する研究では、2002年に経済セミナー誌に掲載された伊藤隆敏氏との共著論文「日本の為替介入は有効だったか」が、国会の予算委員会で取り上げられるなど、政策面でも大きな影響を与えました。この論文では、日本の為替介入の効果について詳細な分析が行われ、その結果は政策立案に貴重な情報を提供しています。

また、購買力平価に関する研究では、時系列分析の手法を用いて、購買力平価の成立に関する実証的な検証を行っています。これらの研究は、国際金融市場における為替レートの変動メカニズムを理解する上で重要な貢献をしています。

職歴

2005年 - 日本銀行金融研究所 エコノミスト
2007年 - 筑波大学大学院システム情報工学研究科 講師
2009年 - 慶應義塾大学商学部商学科 専任講師
2010年 - 慶應義塾大学商学部商学科 准教授
2017年 - 慶應義塾大学商学部 教授

著書

『入門 実践する統計学』（東洋経済新報社、2012年）

統計学の入門書として、理論と実践を結びつけたわかりやすい解説が特徴です。統計学の基礎を学びたい学生や研究者にとって、有益な一冊となっています。

主要な論文

藪氏は、数多くの学術論文を執筆しており、その研究成果は国内外の主要な経済学雑誌に掲載されています。以下に、主要な論文の一部を紹介します。

“Have the constraints on PPP relaxed over time? Some evidence from Japan,” Economics Letters 84:2, 2004.
“What prompts Japan to intervene in the Forex market? A new approach to a reaction function,” (with Takatoshi Ito), Journal of International Money and Finance 26, 2007.
「購買力平価(PPP)パズルの解明:時系列的アプローチの視点から」, 金融研究 第26巻第4号, 金融研究所, 2007年.
“Spurious regressions in technical trading: Momentum or Contrarian,” (with Mototsugu Shintani and Daisuke Nagakura), Journal of Econometrics 169:2, 2012.
“Estimating deterministic trends with an integrated or stationary noise component,” (with Pierre Perron), Journal of Econometrics 151:1, 2009.
“Testing for shifts in trend with an integrated or stationary noise component,” (with Pierre Perron), Journal of Business and Economic Statistics 27:3, 2009.
「量的緩和期の外為介入」, (共著者: 渡辺努), フィナンシャル・レビュー, 平成22年第1号(通巻第99号), 財務総合政策研究所, 2010年.
“Fiscal policy switching in Japan, the US, and the UK,” (with Arata Ito and Tsutomu Watanabe), Journal of the Japanese and International Economies 25:4, 2011.
“Testing for trend in the presence of autoregressive error: A comment,” (with Pierre Perron), Journal of the American Statistical Association 107:498, 2012.
“A new method for identifying the effects of foreign exchange interventions,” (with Chih-nan Chen and Tsutomu Watanabe), Journal of Money, Credit and Banking 44:8, 2012.
“Exchange rate pass-through and inflation: A nonlinear time series analysis,” (with Mototsugu Shintani and Akiko Terada-Hagiwara), Journal of International Money and Finance 32, 2013.

これらの論文は、国際金融論や時系列分析における重要なトピックを扱い、学術的な議論に大きな影響を与えています。特に、為替介入の効果や購買力平価に関する研究は、政策立案や市場分析において重要な示唆を与えています。

外部リンク

藪友良 - 個人のウェブサイト

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