藪野健

藪野健について

藪野健（やぶの けん）は1943年9月1日生まれの日本の洋画家である。彼は日本藝術院の会員であり、二紀会の前副理事長と理事を務めた。早稲田大学から栄誉フェローの称号を受け名誉教授、芸術功労者としても知られている。広島大学から名誉博士号も授与されており、府中市美術館の館長を務めるなど、日本の美術界において非常に重要な人物である。

作品の特徴

藪野の作品は「藪野ブルー」と称される澄んだ青空と、独自の幻想的な「記憶」の世界が特徴である。具象絵画でありながら、作品には深い情感が込められ、鑑賞者はまるで独特の夢の中にいるかのような感覚を覚える。その背景には彼の確かな技術と典雅さ、さらには高い画格がある。藪野は、「絵を描く楽しさは、無地のキャンバスに自らの思い浮かぶ世界を作ることだ」と語り、自身の作品を通じて自由に時代や場所、人々と出会うことができると感じている。

略歴

藪野は愛知県名古屋市で生まれ、父親は画家の藪野正雄である。1969年には早稲田大学大学院の美術史専攻を修了し、1970年から1971年の間はマドリードのサン・フェルナンド美術学校で留学を経験した。日本に帰国後、早稲田大学や武蔵野美術大学などの講師を務め、1990年からは武蔵野美術大学で教授として教鞭を執った。

1999年には早稲田大学芸術学校の教授、2010年には一般社団法人二紀会の副理事長に就任し、早稲田大学の表現工学科教授としても活動を続けた。2014年には早稲田大学から栄誉フェロー、名誉教授の称号が贈られ、さらに芸術功労者としても表彰を受けている。彼は映画監督山田洋次とのコラボレーションもあり、映画「小さいおうち」や「母と暮らせば」で絵画監修やイメージアドバイザーを務めた。

受賞歴

藪野は1965年に二紀展に初入選し、その後も数々の賞を受賞している。特に1977年には「僕の小学校」と「建築家の部屋」で二紀展の宮本賞を受賞し、1991年には「時を刻み、又時が」で文部大臣賞を獲得した。2009年には「ある日アッシジの丘で」で日本芸術院賞を受賞し、同年には日本芸術院の会員に選ばれた。

個展と作品収蔵

彼の作品は多くの美術館に収蔵されており、早稲田大学をはじめ、日本藝術院や東京都現代美術館、愛知県美術館など様々な場所で見ることができる。また、個展も数多く開催されており、早稲田大学や府中市美術館、多摩美術大学美術館などで作品が紹介されている。

著書と画集

藪野は多くの著書や画集も残している。『たてものをかくー建築と絵画－』や『東京２時間ウォーキング』シリーズなど、美術や文化に関する幅広いテーマを扱っている。特に『藪野健展』や『記憶の都市を描く - 藪野健展』といった画集は、彼の芸術活動を紹介する貴重な資料となっている。彼の作品や彼自身の哲学を知るための大変重要な文献である。

藪野健の作品は、彼の独自の視点と技術、心の深い探求を反映しており、観る者に深い感動と新しい視点を与え続けている。

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