虎の巻

虎の巻とは

虎の巻（とらのまき）は、本来、門外不出の秘伝が書かれた書物を指します。転じて、学校の教科書などに対する実用的な解説書、いわゆる教科書ガイドや参考書、学習参考書のようなものを指す言葉としても用いられます。これらの解説書は、教科書の内容をより深く理解するための手助けとなるため、「虎の巻」という言葉が使われるようになったと考えられます。

語源

虎の巻の語源は、古代中国の兵法書である『六韜（りくとう）』の中の一篇「虎韜（ことう）」に由来します。『六韜』は、周の文王や武王に仕えたとされる太公望呂尚が著したとされる兵法書で、全六巻から構成されています。その第二巻である「虎韜」は、「龍韜（りゅうとう）」とともに記述されており、平野部における戦略や武器の使用法について詳細に解説されています。この「虎韜」は、『六韜』の中でも最も実用的な内容を含んでいるとされ、兵法における重要な知識や戦術がまとめられています。この実用性が、後に実用的な解説書を「虎の巻」と呼ぶようになった所以と考えられます。

『六韜』の他の巻には、「豹韜（ひょうとう）」があり、これは森林や山岳など、地形に応じた戦略を説いています。「虎韜」と「豹韜」を比較すると、「虎韜」はより平坦な地形での戦闘に特化した内容であると言えます。これらの兵法書は、古代中国の軍事戦略において重要な役割を果たしました。

虎の巻の現代的な意味合い

現代において「虎の巻」という言葉は、単に教科書ガイドや参考書だけでなく、特定の分野における秘訣やノウハウがまとめられた書籍や資料、あるいはマニュアルを指すこともあります。たとえば、ビジネスの世界では、業務効率化のための具体的な方法や、営業成績を向上させるための戦略などをまとめた資料が「虎の巻」と呼ばれることがあります。また、技術的な分野では、特定の技術やソフトウェアを使いこなすための詳細な手順やヒントをまとめた資料が「虎の巻」と称されることもあります。

関連用語

教科書ガイド：教科書の内容を詳しく解説した参考書で、生徒が学習内容を理解するのを助けるためのものです。
バイブル：特定の分野において、最も重要な参考書や指針となるものを指します。例えば、特定の宗教における聖典や、技術分野における専門書などが「バイブル」と表現されます。
電撃戦：第二次世界大戦でドイツ軍が用いた戦術で、短時間で敵を圧倒するような攻撃方法を指します。「虎の巻」とは直接的な関連性はありませんが、迅速かつ効果的な戦略という点で共通のニュアンスを持つ場合があります。
徴税トラの巻事件：税務署職員が作成したとされる、脱税の手口や税務調査の裏側をまとめたとされる資料。実在は確認されていませんが、「虎の巻」という言葉が持つ意味合いから、この名称が付けられたと考えられます。
* 錦花堂：三重県尾鷲市にある和菓子店で、「九鬼水軍 虎の巻」という和菓子を製造・販売しています。この商品名にも「虎の巻」という言葉が使われており、地元の歴史や文化にちなんだネーミングとなっています。


虎の巻は、古くは軍事における秘伝書から、現代では様々な分野のノウハウを示すものとして、幅広く用いられる言葉です。実用的な知識や戦略がまとめられた資料を指す言葉として、今後も使われ続けるでしょう。

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