虎の牙 (江戸川乱歩)

小説『虎の牙』について

『虎の牙』は江戸川乱歩の手によって1950年に発表された小説で、光文社の雑誌「少年」に連載されました。これは、乱歩が創作した「少年探偵団」シリーズの第6作であり、当時の読者を魅了した作品の一つです。また、ポプラ社からは『地底の魔術王』と題しても刊行されています。

あらすじ

物語は、野球チームに所属する少年、天野勇一を主人公に展開します。彼の前に現れたのは、まるで虎と人間が合わさったような不思議な姿をした男でした。この男は自らを「魔法博士」と名乗り、奇抜な魔術を披露することを宣言します。そして、彼は空中から現れるバットやグローブ、さらにはトランプを見せ、周りの人々を魅了しました。

この登場人物が住んでいるのは近所で有名な妖怪屋敷で、そこで魔術ショーを行うことを申し出ます。勇一は友人の小林芳雄と共に魔法博士の家に向かいますが、そこで信じがたい出来事が待ち受けていました。なんと、魔法博士は勇一を突然連れ去ってしまうのです。

主要人物

• - 天野勇一: 本作の主人公であり、熱心な野球少年です。彼は魔法博士のショーを観るために冒険に足を運びます。
• - 魔法博士: 不思議な魔術を披露する謎の怪人で、物語のメインの対立者となります。彼は少し不気味なキャラクターですが、その独特な魅力で周囲を引きつけます。
• - 小林芳雄: 明智小五郎の助手で、一般的には「小林少年」と呼ばれています。彼は「少年探偵団」の団長として、勇一を助けるために奔走します。
• - 怪人二十面相: シリーズによく登場する神出鬼没の怪盗であり、巧みな変装術を駆使して活動します。
• - 明智小五郎: 名探偵として知られ、二十面相の好敵手でもあります。彼の登場によって、物語に深みが増します。

刊行と評価

『虎の牙』は、1950年に光文社から発行されたのち、何度も再刊され、ポプラ社からは『地底の魔術王』の名で出版されました。特に、1979年には講談社の『江戸川乱歩全集24 青銅の魔人』に収録され、2004年には光文社の『江戸川乱歩文庫全集第15巻　三角館の恐怖』にも再登場しました。受け継がれる魅力的な物語として、多くの読者に親しまれています。

この作品は、乱歩の想像力あふれる世界観とキャラクターたちのユニークさが際立っており、少年探偵団シリーズの中でも特に興味深い一作と言えるでしょう。読者は、勇一の冒険を通じて、謎解きの楽しさと魔法の不思議を体感することができます。

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