虎尾海軍航空隊

虎尾海軍航空隊について

虎尾海軍航空隊（こびかいぐんこうくうたい）は、第二次世界大戦中に日本海軍によって設けられた航空部隊であり、台湾の虎尾飛行場を拠点として活動しました。この部隊は、太平洋戦争の勃発を受けて、航空要員の大量養成を目的に設立された教育機関の一環として機能しました。その設立は、海軍航空兵の訓練ニーズの高まりに応じたものでした。

沿革

太平洋戦争が始まると、日本海軍は多くの航空兵を訓練するための機関を拡充させました。予備学生の訓練を行うために、練習航空隊が全国各地に設立され、その中の一つが虎尾海軍航空隊でした。この隊は、昭和19年5月15日に創設され、台湾中部に位置する虎尾飛行場で活動を開始しました。特に、虎尾空は台湾を管轄する高雄警備府に所属し、内地の練習航空隊とは異なる境遇で訓練が行われました。

部隊の名称については、読み方に関していくつかの説があり、たとえば「とらお」と読むこともありましたが、歴代の航空隊司令であった永石正孝大佐は自身の著作において、虎尾海軍航空隊を「コビ」と略称して記録しています。これにより、現在でもこの名称で親しまれています。

設立から解隊まで【昭和19年、昭和20年】

創設の数ヶ月後、5月15日に部隊が開隊された後、様々な期生が次々と入隊しました。7月には飛練39・40期が、9月には飛練41期の生徒たちが参加しました。12月1日には、高雄海軍航空隊が廃止されるに伴い、台中分遣隊が編入され、部隊の規模が一層大きくなりました。

しかし、1945年の2月15日、虎尾海軍航空隊は解隊されることになりました。これは、実機を使った教育に必要な機材や燃料が不足し、加えて台湾の海軍飛行場での実施部隊の展開が強化されたためです。解隊にあたり、大多数の生徒は内地に送還されましたが、中には運命に翻弄された者もいたことが記録されています。具体的には、3月16日に基隆を出港した南京丸に乗っていた士官たちが、船の沈没により多くが犠牲になるという惨事が発生しました。このようにして、虎尾海軍航空隊は戦争の激化によって閉じることとなりました。

戦後の変遷と機材

戦後、虎尾飛行場は台湾政府軍によって利用されることはなく、農地へと転換される運命を辿りました。また、虎尾空で使用されていた主な機材は九三式中間練習機など、各種の陸上練習機でした。これらの機材は後に、特攻隊「忠誠隊」へと転用されることになります。

歴代司令

虎尾海軍航空隊の初代指揮官は市村茂松で、昭和19年5月15日に就任しました。その後の指揮官については、1945年1月15日から2月15日の解隊までの情報は不明な点が多いです。

参考文献

この部隊に関する詳細な情報は、『日本海軍編制事典』や『航空隊戦史』などの文献で確認することができます。虎尾海軍航空隊の歴史は、太平洋戦争の中での日本海軍における航空訓練の必要性とその発展の一端を感じさせるものです。

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