九三式中間練習機

九三式中間練習機 (K5Y)

九三式中間練習機は、旧日本海軍によって使用された練習機であり、正式名は九三式中間練習機（きゅうさんしきちゅうかんれんしゅうき）です。その連合軍によるコードネームはWillowであり、しばしば「赤とんぼ」と呼ばれることもありました。この愛称は、その目立つ橙色の塗装に由来します。九三式は昭和6年（1931年）に初号機が完成し、その後改良を重ねて1934年（昭和9年）に正式採用されました。

開発の背景

昭和初期の日本海軍では、旧式の航空機を練習機として運用していましたが、これらの機体は老朽化が進み、実用機の性能向上に伴い訓練に不十分となっていました。これを受けて海軍航空技術廠では、新型の中間練習機の開発が進められ、1931年に第一号機が完成しました。しかし、最初のモデルである九一式中間[[練習機]]は安定性に欠け、多くの改良が求められました。

その結果、川西航空機が製作を担当し、1933年には改良型が完成しました。このモデルでは、主翼や尾翼の形状を変更し、実用性を高めるための多くの改良が施されました。審査の結果、安定性と操縦性が優れているとして正式に採用されることとなりました。

運用と特徴

九三式中間練習機は制式採用後、川西航空機を含む複数の航空機製造会社で大量生産されました。この航空機は海軍の各種練習航空隊に配備され、1945年の第二次世界大戦終結まで現役で活躍しました。安定性と信頼性が高く、また高等曲技の訓練にも支障なく使用できる特性があり、多くの若きパイロットがこの機体で初飛行を経験しました。

陸上機型の九三式陸上中間練習機（K5Y1）だけでなく、水上機型の九三式水上中間練習機（K5Y2）も生産され、特に水上機のパイロット養成に寄与しました。また、一部は民間でも使用され、訓練飛行や空中写真撮影など多様な用途に活用されました。

さらに、性能向上を狙った改良型も試作されたものの、いずれも期待した性能には達せず、量産には至りませんでした。戦争の中期以降、急速な技術の進歩から、本機が初等練習機としての役割も担うようになりました。

特攻任務

本機はまた、特攻任務にも転用されました。特に、250 kgの爆弾を搭載しての特攻に関しては、木更津基地における軍の方針に反対する声もありましたが、戦局の厳しさから日本軍は今使える機体を全て戦闘に投入しなければならない状況に追い込まれていました。

沖縄戦が激化する中、特攻隊員たちは厳しい訓練を受け、元々操縦技術が高い乗員が組織された「龍虎隊」が編成されます。彼らは低空飛行を駆使して敵艦に接近し、数回の出撃を果たしました。特に、艦艇攻撃においては、高速で動く敵機と異なり、速度が遅い練習機であっても巧妙に飛行することで相手に接近することができました。

戦後の使用と現在

戦後、九三式中間練習機はインドネシア独立戦争においても使用され、その後の爆撃により多くの機体が失われました。しかし、現存する機体の一つはインドネシアの博物館に保存されています。また、日本国内でも九三式の実物大模型が展示されています。

仕様

九三式中間練習機（K5Y1）の主な仕様は以下の通りです。

• - 翼幅: 10.99 m
• - 全長: 8.05 m
• - 全高: 3.20 m
• - 自重: 1,000 kg
• - 発動機: 日立「天風一一型」空冷星型9気筒 340 hp
• - 最大速度: 214 km/h
• - 乗員: 2 名

このように、九三式中間練習機は日本海軍の練習機として多くの重要な役割を果たし、その後の航空技術の発展に寄与しました。

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