虚空の逆マトリクス

『虚空の逆マトリクス』は、森博嗣による短編小説集です。講談社ノベルスより2003年1月に発行され、2006年7月には講談社文庫版も刊行されました。日常に潜む謎から、非日常的な事件まで、バラエティ豊かな7つの物語が収録されています。

収録作品は以下の通りです。

トロイの木馬
密室で発見された、胸に剣が刺さった女性。容疑者は、彼女を愛する自分ただ一人。愛する人を殺す理由などないはずなのに、これは現実なのか、それとも悪夢なのか。張り巡らされた伏線と、予想外の結末が読者を翻弄するミステリー。
赤いドレスのメアリィ
バスの待合所に佇む、真っ赤なドレスを纏った老婆。街の有名人だが、正体は謎に包まれている。彼女の過去を知るという男性との出会いをきっかけに、メアリィさんの知られざる物語が明らかになる。
不良探偵
従兄弟同士の慎一とサトル。サトルが書く小説の主人公のモデルは慎一。彼はいつしか自分自身を探偵と思い込むようになる。そんなある日、慎一の恋人が殺害される。果たして、犯人は誰なのか？　そして、事件の真相は？
話好きのタクシードライバ
タクシーに乗車したビジネスマン。今日の運転手は、退屈な話好きか、それとも面白い話を聞かせてくれるのか。タクシーという密室空間で繰り広げられる、人間模様を描いた作品。
ゲームの国（リリおばさんの事件簿1）
セメント会社の社員食堂で発生した殺人事件。回文同好会を主宰するリリおばさんが、卓越した推理力で事件の真相を解き明かす。ユーモア溢れるキャラクターと、本格ミステリーが融合した作品。
探偵の孤影
ミスタ・ティモシェンコのもとに、姉を探して欲しいという奇妙な依頼が舞い込む。依頼人は、姉の名前も、写真も明かさない。手がかりは、姉が住んでいたという幽霊ビルだけ。困難な捜査に挑むティモシェンコの運命は？
* いつ入れ替わった?
萌絵と犀川は食事の約束をしていた。デートを予感して浮かれる萌絵。しかし、会話は未解決の誘拐事件へと発展する。身代金を積んだタクシーが、いつの間にかすり替わっていたという。2人の関係にも進展が見られる一作。

『虚空の逆マトリクス』は、森博嗣ならではの独特な世界観と、緻密なロジックが光る短編小説集です。日常に潜む謎、そして予想外の展開が、読者を飽きさせません。ミステリーファンはもちろん、森博嗣作品に初めて触れる方にもおすすめの一冊です。

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