蛇頭

蛇頭（じゃとう）について

蛇頭とは、中国の福建省を拠点に活動する密入国斡旋組織を指し、英語圏では「スネークヘッド（Snakehead）」と知られています。彼らの活動は1980年代から始まり現在に至るまで、国境を越えた不法移動を支援するネットワークを形成しています。

歴史

1990年代の活動

1990年代は、特に中国人による不法入国が問題視される時代でした。1989年の六四天安門事件をきっかけに、1990年から日本への集団密航が始まります。1993年には、福建省からの密航事例が9件記録され、新たな手口が模索されていきました。漁船を利用した密航や貨物船への混入がその手法でした。1997年には香港が中国に返還され、その後にも密航が増加。この時期、巧妙な手口が発展し、仕立船の藩国を変更、隠し部屋の設置、漁船の変更などが行われました。これらの暗躍を受けて、海上保安庁は中国側と協力し、密航撲滅に取り組みます。

2000年代の変遷

2000年になると密航件数は19件となりますが、翌年には41件に回復。新しい手法としてコンテナ密航や少人数密航が試みられました。日本側では密航防止策がとられ、中国との情報共有に基づく逮捕劇もありました。結果的に、2004年には日本への集団密航がほぼ消失しますが、アメリカでは蛇頭の活動が続いており、2005年にはそのビジネスが200億ドルに達したと広く言われています。

2010年代の現状

2015年頃、蛇頭はベトナムの犯罪組織と組んで、新たな市場を開拓しているとの報告があります。具体的には、ベトナムやカンボジア、ミャンマーから大量の労働者を中国への密入国させているという事例が見受けられます。これにより、広東省の工場での労働力として活用されることが多くなっています。このように、蛇頭の活動は国際的な規模で広がりを見せています。

その他の特徴

蛇頭組織は、一般的に組織犯罪と見なされることが多いですが、その実態は各役割が独立しており、ブローカーによってつながれています。送り出しや輸送、受け入れを分担し、関係者の間には面識が無い場合がほとんど。このため、事件が明るみに出ても全容を把握することが難しいのが現状です。

日本の海上保安庁の特殊部隊（SST）は、過去に密航船を摘発したこともあり、危険な活動に対抗しています。また、日本の蛇頭組織は現在、バンコクを拠点に技術を駆使して活動しており、日本人を仕切る中間業者が存在すると言われています。彼らは、依頼を受けて運び屋を準備したり、経費の捻出を行ったりしているとされます。日本経由やヨーロッパルートを整備する中で、新たな手段を編み出し続けているのが実情です。

このように、蛇頭の存在は国家間の法的な枠組みを超えており、その活動が多岐にわたることから、公安当局の取り締まりは非常に困難を極めています。

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