蛟龍 (潜水艦)

蛟龍（こうりゅう）

蛟龍は大日本帝国海軍に属する特殊潜航艇であり、一部の文献では蛟竜と表記されることもあります。元々は甲標的丁型として開発が始まりましたが、1945年5月28日に蛟龍という名で兵器として正式に採用されました。主な武装は450mmの二式魚雷を2本搭載し、主要敵艦撃破を目指していました。

開発の背景

蛟龍の開発は、日本の戦争経験からの学びに基づいており、特に行動力の不足が改善の必要とされました。そのため、甲標的を大型化し、発電用のエンジンを搭載することで航続距離と乗員数を増やすことを目指しました。蛟龍は、波号潜水艦よりもさらに小型な設計がされており、連続行動日数は最大で5日とされていますが、実際には体力の消耗などから3日程度が限界とされました。

居住性は劣悪で、操縦室には寝るスペースがなく、乗員は限られたスペースで交互に休む形を取っていました。

生産背景と数量

蛟龍は、日本の本土決戦における「切り札」とされ、さまざまな造船所での生産が計画されました。1945年の初めには、月産80隻が予定され、更に110隻が4月から6月に、430隻が7月から9月に、1,000隻が10月以降に整備される計画が立てられました。しかしその後、海龍や回天の生産に移行し、蛟龍の量産は抑制されました。

開発の経緯

蛟龍の開発には黒木博司中尉が大きく関与しました。彼は1942年に甲標的の研究を開始し、その成果が蛟龍の設計に活かされています。特に司令塔の形状や操縦室のレイアウトは、彼のアイデアに基づいています。1944年5月には甲標的丁型の試作艇が完成し、同年中に量産が始まりました。

蛟龍の性能

蛟龍は甲標的に比べて旋回能力や航続距離が大幅に改善されました。具体的には、甲標的丙型に対し、蛟龍の旋回半径は190m、航続距離は1,000海里以上に達しました。速度に関しては最大18kt、実用的なスピードは6から10kt程度と見なされています。蛟龍は二式魚雷を装備しており、その重量も搭載しているため、安定した運用が可能です。

実戦参加

蛟龍は実戦での参加は比較的少なく、1945年に沖縄に展開する計画がありました。荒天のため途中で衝突、座礁する艦も出ました。特に、蛟龍209、210号艇が沖縄に進出を試みましたが、詳しい成果は上げられませんでした。

終戦後

戦争が終わるころには、多くの蛟龍が各基地に配備されていました。戦後、蛟龍は「新海軍」という構想の中で再構築される可能性がありましたが、準特攻兵器としての印象が強いことから代替品に位置付けられることになりました。

まとめ

蛟龍は大日本帝国海軍において重要な役割を果たすことを期待されていましたが、その実戦での成果は限られていました。特異な設計と発展的な運用が試みられたこの潜航艇は、戦局の変化によって厳しい運命に翻弄されることになりました。

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