本土決戦

本土決戦について

本土決戦（ほんどけっせん）は、第二次世界大戦の太平洋戦争において、日本本土への連合国軍の侵攻に対抗するための日本側の計画でした。この作戦は、1945年秋から始まる予定の「ダウンフォール作戦」に対して、日本軍が「決号作戦」と名付けた防衛策を準備していたものです。しかし、日本がポツダム宣言を受諾し降伏したのは1945年8月であり、そのため本土決戦は実行されることなく終わりました。

背景

日本政府や陸軍大本営は、フィリピンを「日米の天王山」と称し、ここでの防衛に全力を注いでいました。1945年1月、日本軍は連合国軍のルソン島リンガエン湾上陸に敗れ、フィリピンの喪失が確実となったことで本土侵攻の脅威が現実味を帯びてきました。さらに、連合国軍による海上封鎖や戦闘により日本の補給路は遮断され、増援は絶望的な状況でした。このような中で、日本軍は本土防衛の準備を進める必要がありました。

本土防衛戦の準備

基本構想

日本の大本営は、最初は地上戦を想定していませんでしたが、絶対国防圏の破綻を受けて、しっかりとした本土防衛戦の計画を立てざるを得ませんでした。1944年1月頃、大本営は松代大本営の建設を秘密裏に進め、7月には本土沿岸に要塞を構築する指令を発出しました。さらに、連合国軍からの侵攻に備え、フィリピン、千島、台湾などで迎撃作戦の準備も進められました。

陸軍の動き

1945年1月22日、陸軍は指揮系統を一新し、各部隊の再編成を行いました。これにより、部隊の効率的な指揮と統率が可能になると期待されました。しかし、連合軍の本土上陸への備えは進まず、兵力不足が著しくなりました。

日本陸軍は、連合軍の侵攻が秋頃になるとの予測を立て、それに備えて約150万人を動員するための「根こそぎ動員」が行われました。時期を設定し、それに向けた慌ただしい準備が行われましたが、物資や装備の不足から実際の戦力は十分ではありませんでした。

海軍と民兵の整備

連合国軍の攻撃が加わる中、日本海軍も同様に統一指揮を整備しました。日本は民間人も動員し、国民戦闘組織の編成を進めました。その結果、義勇兵や地域特設警備隊が編成され、58歳以下の男性は義務的に戦闘に参加させられることになりました。

本土決戦の終息

1945年4月には連合国軍が沖縄戦を開始し、同年6月には沖縄の占領を達成します。一方、日本政府は連合軍の侵攻を防ぐための準備を進めていましたが、軍事的に不利な状況に変わりはありませんでした。ニューヨークにある連合軍の指導のもと、夏までには海上封鎖や空襲が確実に進行しました。

最終的には原子爆弾が投下され、ソ連の参戦が相次いだことで日本は降伏を余儀なくされます。これを受けて、1945年8月、ポツダム宣言の受諾が決まり、本土決戦は計画に終わることとなりました。

現代への影響

本土決戦の計画は未遂に終わり、その結果、戦後の日本の防衛に直接的な影響を及ぼすことはありませんでしたが、沖縄戦では多くの人的被害が出ました。作家の笠井潔は、可能性としての本土決戦が行われていた場合、200万から300万の犠牲者が見込まれると述べています。

本土防衛戦の教訓やその結果としての国民意識の変化は、今なお日本の防衛政策に影響を与え続けています。

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