蝶々 (シューマン)

『蝶々』（Papillons）作品2は、ロベルト・シューマンが作曲したピアノ曲であり、全12曲で構成されています。日本語では『パピヨン』とも呼ばれています。

概要

この作品は、シューマンがピアニストとしての活動を始めた直後の1829年から1831年にかけて作曲されました。シューマンは、愛読していたジャン・パウルの長編小説『生意気盛り』（未完）に登場する「仮面舞踏会」の情景から着想を得たとされています。また、以前に作曲したピアノ小品が引用されている点も特徴です。技巧的、音楽的にシューマンの作品の中では比較的容易で、中級レベルの学習者でも演奏しやすい楽曲です。

構成

6小節の序奏と12の楽曲から構成されており、各楽曲には作曲者自身が付けた表題が存在します。演奏時間は約14分です。

序奏
第1曲「仮面舞踏会」：ドルチェで奏でられる仮面舞踏会の旋律は、後の作品『謝肉祭』の第6曲「フロレスタン」にも引用されています。
第2曲「ヴァルト」
第3曲「ヴルト」
第4曲「仮面」
第5曲「ヴィーナ」
第6曲「ヴルトの踊り」
第7曲「仮面の交換」
第8曲「告白」
第9曲「怒り」
第10曲「仮面を脱ぐ」
第11曲「大急ぎ」
第12曲「終景と帰り行く兄弟たち」

「ヴァルト」と「ヴルト」は、小説に登場する双子の兄弟の名前で、ヴァルトは夢想家、ヴルトは行動家として描かれています。「ヴィーナ」は同じく小説に登場する女性の名前です。

最終曲では、17世紀頃の「祖父踊り」の旋律（『謝肉祭』の終曲にも用いられている）と第1曲の仮面舞踏会の旋律が組み合わされ、朝6時の鐘が鳴ると音楽は弱音で静かに終わります。

関連項目

ジャン・パウル

参考文献

『名曲解説全集11・独奏曲（中）』音楽之友社、1962年

外部リンク

蝶々の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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